農業協同組合新聞 JACOM
   
特集 絆の強化と仲間づくりで活きいきとした地域づくりを

新たな推進体制を構築

LAの活躍を機軸にJAの総合性を発揮

JA共済大賞に輝く3JAに聞く


  静岡県のJAとぴあ浜松、愛知県のJAあいち三河、兵庫県のJA兵庫六甲がJA共済大賞に輝いた。総合ランキングのトップ3としての受賞だが、優れた実績を挙げている取り組みには、それぞれ大きな特色があり、厳しい競争の中で意欲満々、JA共済の新たな地平を切り開いている。鮮烈な感動を呼ぶ創意に満ちたその活動ぶりの一端を3JAの組合長、共済部長らに聞いた。

独自の管理システムつくり
保有純増を徹底的に追及

JAとぴあ浜松 
共済部長 古山秀彦氏

平成17年度新契約推進実績
▽長期共済保有契約高4兆1773億円
▽同新契約高2744億円
▽自動車共済新契約5万2391件(掛金24億5201万円)
▽自賠責共済新契約2万1189台(掛金4億9149万円)
 JA概況(17年度末)
▽正組合員2万5040人、准組合員4万5855人
▽正職員1305人
▽貯金残高8313億円
▽貸出金残高2011億円
▽購買品供給高110億円
▽販売品販売高224億円
JAとぴあ浜松 地図

 14JAが合併して発足してから10年目となる平成16年度末に長期共済の保有純増が1兆805億円となり、17年度も、おかげさまで、その勢いが続きました。
 保有純増達成の要因は?ということになりますと、やはり純増を重視した私ども独自の実績管理システムを構築して実績管理をしてきたことが挙げられます。
 それとシステムをつくり上げてきたJAの先輩たちの英断と努力、その流れの中でがんばった第一線のLA、インストラクター、クラブ員らの多大の努力があって成し遂げられたと思います。どんな事業でも保有高が減るのは問題ですから純増は当たり前のことです。
 しかし合併前から純増に取り組んでいたJAは少数でした。そうした中で合併時の共済部長だった田端敬一理事長が「共済については純増でいこう」と決断し、14JAが意思統一しました。

◆個人実績を把握して

 当時のシステムは新契約実績しか把握できず、推進担当者ごとの純増実績がつかめないため外部業者に委託してJAとぴあ浜松の自前の実績管理システムをつくり上げました。そのポイントは純増に貢献しない新契約は評価しないという点です。
 例えば同一世帯で新契約とともに解約があれば、推進担当者の実績から解約分が差し引かれることになります。また推進担当者がお客様から無理な契約をいただいて、人事異動後に解約された場合、前任者の減少実績として取り扱われます。
 個人実績を把握できますから、それを積み上げて支店、地区支店の目標管理まで徹底されました。
 管理が厳しくなるのですから当初はとまどいもありました。しかし地域の推進環境や推進手法などに合わせて、そのつどシステムを改良をする形で進めましたので、推進担当者も徐々に慣れました。
 一方、平成12年にスタートした合併後の第2次5ヵ年計画の中で「100%恒常推進、一斉推進の廃止」を打ち出しました。お客のニーズが多様化し、共済の仕組みも高度化しており、またコンプライアンス重視が社会的に広がったことなどからです。

◆一斉推進はやめる

 専門的な共済の知識を持っていないと推進が難しくなっているし、お客にも迷惑をかける可能性があると判断したわけです。
 しかしLA中心の恒常推進だけで、今までどおりの実績が確保できるだろうかとの不安もありました。このためリスク分散もできるとして7地区を段階的に切り替えてきました。共済専任LA数は現在128人で、12年当時の99人に比べ充実した体制だと思っています。
 個々のLAの能力を最大限に発揮させるため専任のLA管理者であるLAインストラクター制度も平成12年から導入し、7地区に1人ずつ配置しています。
 LAインストラクターは平均20人程度のLAを担当し、実績を管理するとともに指導と支援を行い、LA全員の年間目標達成に努めています。
 「クラブ員」制度もあり、金融渉外担当や係長、主任クラス約300人をクラブ員とし、LAとともに恒常推進をしています。

情報連絡体制を機能させて
全職員がLA活動を支援

JAあいち三河
共済部長 本田邦夫氏

 平成17年度新契約推進実績
▽長期共済保有契約高1兆2207億円
▽同新契約高1276億円
▽自動車共済新契約3万521件(掛金13億2459万円)
▽自賠責共済新契約1万3804台(掛金3億4192万円)
 JA概況(17年度末)
▽正組合員8780人、准同8287人
▽正職員449人、臨時職員106人
▽貯金2810億円▽貸出802億円
▽購買品供給高129億円
▽販売品販売高37億円。

JAあいち三河 地図

 小嶋彰組合長はいつも「ありがとうという感謝の気持ちを忘れないで一生懸命にやれば必ず組合員に気持ちが通じる」と説いています。そうした心構えを全職員に徹底させながら、共済事業では提案型の推進に取り組んで実績を挙げています。
 LA制度は平成9年春に導入し、恒常推進と一斉推進を組み合わせました。
 JA合併前、一斉推進だけの時代には各職員の目標額が1人平均約2億円にのぼっていました。これでは負担が重いし、また共済の仕組みが複雑化して専門性が求められてきたこともあって28人からなるLA制度を発足させたわけです。
 そして一般職員の目標を9年度は平均1億円に引き下げ、その後LAの増員に伴って、平成17年度には平均7400万円に減らし、さらに今年度は6000万円としました。現在LAは36人です。
 また4月の一斉推進月間が終わると5月からはLAの恒常推進に引き継ぐ形をとり、その運びが確立してきたことが実績に大きく寄与していると思います。

◆確度の高い情報を

 ポイントは情報連絡制度です。それがうまく機能しているようです。これは一般職員が得た新契約につながる情報を、情報連絡票に記入し、そのエリアを担当するLAに伝える制度です。
 今の組合長が常務理事だった時に提唱して情報連絡票を作成し、平成9年秋から始めました。一斉推進後から年末までに1人3枚を提出する目標となっています。
 これは推進に苦労するLAを全職員が支援する体制といえます。また一般職員が共済への関心を低下させないようにするためでもあります。そして一斉推進の時、お客に提案はしたが、説明不足などで仕掛かりになっている案件をLAがフォローする目的もあります。
 連絡する情報は精度確度の高いものを求めています。不十分な質の低い情報を基にした推進は逆にお客様の不信感を招いたりします。しかし、実際にはLAが訪問して契約に至る確率はほぼ9割と高くなっています。
 情報連絡票の件数や紹介金額は組合長が評価することになっています。

◆評価をしっかりと

 とはいえ黙っていてはなかなか連絡票が集まらないため朝礼の時などや役職員の会議などで月別の集計表を示したりして折にふれ提供を呼びかけています。それと各職場などで連絡票提出者の評価をしっかりとすることが大切です。
 一方、LAの実績管理はLAの中のブロック長が行っています。LAは全員が本店共済部の所属ですが、各支店ごとの目標の一部を担う形になっています。支店29は5ブロックに分かれて、まとまりをつくっているため、LA体制としても、これに対応するブロック長を持ち、LAの実績管理やミーティング、指導などを担っています。
 支店長の中のブロック長とLAの中のブロック長は連絡を密にして共同責任で共済事業を進めています。人事ではLAのブロック長から支店長や本店の課長に昇進する流れもあるためLAたちはそうした視点からも意欲的に活動しています。
 なお共済事業の支えとなるJA全体の活動としては全職員による月I 回の組合員訪問などがあります。

「くらしの相談員」が大活躍
きめ細かな相談活動を!

JA兵庫六甲
代表理事組合長 村山芳樹氏

 平成17年度新契約推進実績
▽長期共済保有契約高2兆3240億円
▽同新契約高2178億円
▽自動車共済新契約3万325件(掛金12億7413万円)
▽自賠責共済新契約7665台(掛金1億8519万円)
 JA概況(17年度末)
▽組合員戸数3万7528戸(正准合計)
▽職員数1103人
▽貯金残高8957億円
▽貸出金残高3159億円
▽購買品供給高61億円
▽販売品販売高139億円

JA兵庫六甲 地図

 平成12年4月に合併して以来、「人・感動・緑のまちづくり」という経営理念のもと、「身近なJA」「環境に配慮するJA」を目指しています。そして地域の中で活かされている、育てられているという意識を大切にしながら取り組んできました。
 今回、すばらしい賞を受賞することができたのは、その結果であると考えております。これも組合員・利用者の皆様のご協力と役職員の努力の賜物であり、心から感謝しています。
 9JAが合併して発足し、神戸市をはじめ阪神間の大都市など8市1町をエリアとした全国有数の大型JAですが、組合員・利用者が気軽に相談できるように“大きくても身近なJA”を目指しています。

◆「くらしの相談員」とは

 くらしの相談員は生活に関わる総合的な相談を受けることで組合員や利用者の利便性を向上させるとともに、営農・経済事業や資産管理事業などJAの各事業とも連携させることを目的に合併時からスタートさせた制度です。
 相談員は共済や信用、資産管理など様々な知識を身につけて渉外活動を展開しています。現在のくらしの相談員数は223名で各支店に4〜5名を配置しており、1人が200戸を担当し、1日に20軒程度を訪問するようにしています。
 こうしてつながりを強め、相談に乗り、信頼関係を構築し、「くらし」の全てにJAが関わることができるよう推進を展開しています。

◆職員教育に力入れる

 高齢者福祉や税務相談など組合員のニーズがますます多様化しているため特に職員教育には力を入れています。その一環としてファイナンシャルプランナーとホームヘルパーの資格取得を奨励し、資格者が増えています。また「キャリアデベロップメントプログラム」を導入して職員個々のキャリアアップを図っています。
 本店では生活文化事業部が共済担当部署となっています。そして広い管内を3ブロックに分け、それぞれに地域事業本部を置き、また3本部には生活文化センターを設けて、支店を統括しています。
 管内人口は320万人で、他の金融機関との競争が激しい環境にありますが、今後については、くらしの相談員を中心とした総合相談活動を軸に地域密着型の推進活動を展開することでJA共済とJAのさらなる発展を目指しています。
 また面談式の全戸訪問活動を通じ、万が一のときに迅速で正確な対応に努め、困ったときに信頼されるJAでありたいと思っています。
 特に力を入れたいこととしては、例え小さな契約であっても、その人のニーズに合った提案をすることにより満足度を高め、信頼に応えていくことが大事であると考えています。地域にとってかけがえのない存在であり続けたいと思います。

(2006.5.24)

 



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