農業協同組合新聞 JACOM
   

特集  食と農を結ぶ活力あるJAづくりと女性達の役割



 第52回JA全国女性大会を機に大蔵会長に女性組織活性化の課題やJAへの女性参画などへの取組みを聞いた。大蔵会長はフレッシュミズ組織の活動がこの1年で大きく前進したことを評価、エルダー層と協力で女性組織とJAへの結集をさらに進めることを期待した。また、オーストラリアとのEPA交渉をめぐっては、生活者の視点で広く国民に食と農の大切さを訴えることが必要だと述べた。


エルダーの「技」とフレッシュミズの「知恵」を合わせた活動に期待

◆大会決議実践には女性参画が不可欠

おおくら・はまえ
おおくら・はまえ
昭和14年生まれ。平成2年大中の湖農協婦人部長、JAしが女性協理事。10年JAグリーン近江女性部長、11年JAしが女性協会長。16年JAグリーン近江経営管理委員、17年JA全国女性協会長、18年JA全中理事。

――今年の活動の基本的なテーマは何でしょうか。

 やはり「食と農」を基軸とする、というのが基本です。農業を取り巻く情勢をみると、今年から実施される品目横断的直接支払い制度やWTO(世界貿易機関)交渉やオーストラリアとのEPA(経済連携協定)交渉開始など大変な時期に来ているわけですが、一方で食と農の距離は離れてしまっていますね。女性組織が今こそ頑張らないといけないと思っています。
 ――昨年は第24回JA全国大会で「食と農を結ぶ活力あるJAづくり」を決議しました。決議実践のために女性組織としては何が重要だとお考えですか。

 今、地域差はあるものの女性参画は徐々に進んでいると思いますが、それでも全国段階でいえば、全中の女性理事は私が初めて就任し、まだ1人ですね。理事会などに出席してみて女性理事が複数になることも大切だなと痛感しています。
 もちろん女性も切磋琢磨して勉強しなくてはなりません。そのうえで全国段階での女性参画がもっと進めば全国的な決議実践につながるのではないかと。参画をもう一押し前進させることができれば改革も進むと思います。
 ただ、フレッシュミズは確実に前進していますね。素晴らしい才能も持っていますし勉強していると思います。地区別にフレッシュミズの集会を開くところが増えてきました。これはすごい発展、進歩です。点が線になり、面になっていく過程が大変早い。昨年まではなかったことですし、スピード感がある。こういうスピード感をJA運営にも取り入れるべきだと思います。

◆国民理解は女性組織こそ

 ――フレッシュミズなど女性がまとまって実践する力には何があるのでしょうか。

 それは生活者としての視点だと思います。子どもを産み育てたお母さんの底力というか、女性起業が発展するのもそこにあるんでしょう。実はこの生活者としての視点というのも今、いちばんJAに求められていることだと思います。
 私がいつも主張しているのは、生活指導と営農指導はすぐには利益には結びつかないけれども、長期ビジョンでみたらJAの基盤になるということです。JAからの女性組織への活動助成金を減らすという動きも残念ながら多いと思いますが、それなら自主財源を持ってでも、女性組織あり、という存在感を出さなければならないことも課題です。
 そのためにもフレッシュミズ組織に期待しますし、私たちエルダー層も芽を育てていくことが課題です。

 ――生活者の視点は消費者の女性とも共有できるものです。

 今年、大きな課題となるオーストラリアとのEPA交渉でも、国民的な理解が非常に大切ですね。
 以前から言われてきたことですが、WTO農業交渉でもJAグループや農業界のなかだけで運動をしていたのではだめであって、女性組織こそ消費者である女性に向かって、この問題は農業者の生活基盤が崩されるというようなことではなくて、農業の衰退が国民に対してどんなデメリットがあるのかについて訴えることが大事だと思うんです。ここはやはり女性ならではの訴え方をすべき。
 確かに政治への働きかけも必要ですが、それと並行しつつやはり国民的運動につなげることにもっと力を出していくことがこれからの1年はとくに大切です。 これは急務ですよ。オーストラリアと交渉をしていくことは間違いないわけですから、日本の農業が崩壊したら、農業だけでなく地域がどうなるのか。また、米が関税撤廃になれば60kg4000円になるとも言われていますね。そうなれば誰も作らないでしょう。外国から買えばいいといっても、安全性の点では大丈夫か、環境保全、国土保全の面では非常に大きなデメリットもある、ということを女性組織で訴えていかなかればならない。生活者の目線から訴えられる女性だからこそできることはいっぱいある急務の運動だと思います。
 そういう国民的な運動をつくるためにももっと勉強が必要ですが、一方で女性が表に出ることによって磨かれるということもあるわけです。だから、ぜひ女性の参画を進めてほしいことにもなるわけです。

◆政治にももっと関心を持って

 ――さまざまな実践や自己研鑽の場を広げるために必要なことは何でしょうか。

 年1度のフレッシュミズの全国集会がありますし、それから「フレッシュミズの主張」全国コンクールも起爆剤になっています。もちろん全国段階に出てくる人は非常に優秀な人が集まりますが、地域での活躍が広がるようにと昨年は初めて地区別の集会を開催したところもあります。今年はそれを都道府県段階でも大会が開催できればと思います。
 そのとき親組織のエルダー層が芽を摘むのではなくて、全面的にサポートしていくということが大事です。これは今の流れになってきていると思いますし、フレッシュミズ組織こそJAの看板だ、というぐらいになってほしいです。
 とくに今のフレッシュミズの方たちは農業以外の世界でいろいろな経験をしている人も多い。そういう仲間がいるわけですから、活動や交流に参加すること自体が勉強になると思います。今は当たり前のことをやっていてはだめな時代でもありますから、さまざまな経験を持つ女性たちにも独創的な活動もしてもらって、JAを基盤に活動する仲間、組織を増やすことに努力してほしいし、それを全国女性協としても支援できるようなことも考えていきたいと思いますね。
 とくに強調したいのは、農村地域に伝わっている技というのはエルダー層が持っているということです。その「技」とフレッシュミズの「知恵」が合さればすばらしいものなる。これをぜひ各地で形にしていただくこと、これも今年の課題ですごく楽しみです。

 ――女性組織の活動は農産物加工や文化活動、趣味などまで幅広いですが、これからの活動で考えるべきとはありますか。

 私は、最近、そのときのニーズが何か、何が旬なのか、それをいち早くキャッチして地域に仕掛ける旗振り役も大事だと思います。そういう意味で先ほども話したオーストラリアとのEPA交渉という農産物貿易の自由化問題も大きなことですから、それをどう地域で旗振りして、幅広く地域住民に関心を持ってもらうか。これはJAにとっても課題でしょう。
 そのときどきの旬のものを取り上げる、といってもそれは文化的な活動からも見つかるはずです。環境問題に取り組むという女性グループも各地にありますが、それも文化活動から始まったことでしょう。
 私は時代のニーズを捉えることは女性組織にとっても必要だと考えています。日本の食料の危機があるんですから、これは農業者じゃなくても怖いことです。自由化交渉しようというオーストラリアは昨年は小麦が不作で輸出できないわけですよね。温暖化など大きな気候変動のなかでこれは起きていることかもしれないわけで、これ以上外国に食料を依存してしまったら日本なんて簡単に滅んでしまいますよ。お金があっても買えないんですから。
 そういうなかで何を消費者が求めているかも含め、やはり社会性のある運動というのも必要かなと思っています。女性による起業、文化活動ももちろん大事ですが、政治にももっと関心を持とうということです。これは特定の政治的な考えを支持するということではなくて、政治いかんによっては私たちの生活に直接関わることにもなるという意識を持とうということです。社会全体を考えた運動も農業者として非常に大事になっていると考えます。そこに女性パワーを発揮したいですね。

(2007.1.26)


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