農業協同組合新聞 JACOM
   

特集 生産者と消費者の懸け橋になるために―JA全農「3か年計画」のめざすもの―


全農に期待すること
担い手支援は「将来のJAの担い手づくり」の視点で
JA全青協参与 矢木龍一氏(前会長)



矢木龍一氏

 昨年、全農理事のみなさんとJA全青協との対話の場で米のフレコン出荷対応を要望しました。担い手支援というなら、自分で乾燥調製している大規模生産者にとってこれは大事なことで、今年から地元では実現した。
 しかし、あのとき言いたかったのはフレコン出荷対応は担い手支援の象徴的な取り組みなんだから、対応できる県とできない県があるのはおかしいではないか、全農は全国一本の組織になったのだから全国組織としてきちんと旗振りをしてほしい、ということです。
 法人化すれば経営にシビアになる。作ったものに付加価値をつけて売りたいし、少しでも労力を軽減させたい。現場に即した事業を打ち出してほしいし、この場合はJAの集荷率アップにもつながるわけですから。

◆地域農業を守る構図示して

 生産者はみんな自分のつくったものにプライドを持っている。できれば自分たちの農産物がブランド化できればいいと思っています。 ただ、ブランド化というとまとまったロットがないと、などといわれ結局県域程度のまとまりが必要だという話になってしまう。しかし、米でいえば魚沼もロットは決して大きくはないはず。自分たちの地域名が入っていてこそ自分たちのブランドなんだとその土地のものに自信を持てる。販売面でいえば、全農にはわれわれの考えるようなブランドづくりのためのマーケティング、ノウハウを期待したい。
 なぜそう考えるかといえば、それが実現すれば自分たちのJAを潤わせることにもなるから。われわれはJAの組合員なんだから、JAが立ちゆかなくなれば死活問題です。結局、最後はわれわれはJAの組合員なんだというところに行き着くわけです。
 その点で今の担い手支援はいかに全農からはじまる系統利用を維持し守っていくか、という面も感じてしまう。担い手とは将来のJAの担い手でもあるのだから、JAづくりにつながる担い手支援でなければならないのではないか。JA青年組織はもちろん4Hクラブや法人協会所属の担い手であっても地域農業の担い手です。かれらも含めてこの地域の農業を守る構図をどうつくるか、それが担い手支援に欠かせないと思う。

     ◇    

 県本部の担当者ももっと担い手の現場に顔を出してほしいですね。JA担当者だけでは解決できないことも多いわけで、そこに県本部の担当者がいるかどうかで信頼するか不信感をもってしまうか分かれる。JAとのつき合いもすべて人のつながりです。
 だから、青年部をはじめとした担い手との意見交換は定期的に続けるべきだと思う。まだまだ担い手には生産資材の決定過程など不透明ではないかと感じている問題も多いし、また、その年の天候など時期によって抱えている問題も違ってくるから形だけの意見交換で終わらせないようにすべきだと思います。
 もうひとつ重要なのが、青年部、女性部代表の経営管理委員の問題。改革の名のもとに参与になったが、担い手支援を重視するのなら、現場の声を経営管理委員会に反映させるため、もう一度考えるべき。最近、この議論が聞かれなくなったが、そこに改革の文字が薄らいでいっているのではないかと感じます。

(2007.8.31)


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