農業協同組合新聞 JACOM
   

特集 食と農を結ぶ活力あるJAづくりのために2007


どっこい生きてるニッポンの農人2007

「担い手の育成」ではなく「経営者の創造」へ

今村奈良臣 東大名誉教授


今村奈良臣

 鈴木晃さんにお会いして、話を聞くうちに、これぞ、これからの農業経営者だと痛感した。かねてより私は「担い手」の「育成」という政策用語にいつも嫌悪感をもってきた。また、「認定農業者」という言葉も嫌いである。農業に汗を流したこともない行政の職員が与えられたデータと条件に適合すれば、お上が「認定」した農業者になるというだけのことである。
 しかし、鈴木晃さんから頂いた資料の冒頭に、「地域があってこそ、我が経営がある」ということを明示していること、経営発展の経過を示した図では、今から10年前の平成8年から「農業者から経営者へ」と飛躍したと書いてある。それまでは水稲やレタスやスイートコーンの「生産者」であったが、10年前に、自らの農業経営をマネージするだけでなく、地域全体をもマネージする「経営者」に発展、転化したのだ。そのことを自らの課題と責務と考えたのであろう。鈴木さんの後に続く青年達が、地域に林立するヤマハ、ホンダ、スズキ関連の企業を辞めて、「農業経営者群」に参加し、地域農業はいまや一変しつつある。

◆水田は基盤、収益はレタスとスイートコーンから

 鈴木さんは、別紙本文に詳しいように、「水田の3倍活用」を創造してきた。その体系を図解したのが下図である。借地による水田を基盤にフル活用して、収益性の高いレタスとスイートコーンの作付体系を、その販売戦略と合わせて体系化しているのである。水稲も食用だけでなくホールクロップサイレージも取り入れ耕畜連携と地域水田の地力保全に全力を注いでいる。

表1

(2007.10.19)


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