農業協同組合新聞 JACOM
   

特集 第50回記念 全国家の光大会


広げよう協同の心 築こう豊かな未来

教育文化活動で「人・組織・地域」を元気に


 (社)家の光協会は2月6日、第50回記念 全国家の光大会を愛知県名古屋市で開催した。昭和32年の第1回大会から今年で50回を迎えたこの節目の大会には全国から約2800人が参加。『家の光』などの記事活用と普及文化活動の体験発表や、家の光文化賞の表彰などが行われた。大会ではJAの各事業をつなぎJAの総合力を発揮して、組合員の結集を図るための「教育文化活動」の重要性がますます高まっていることを確認、ゆとりとふれあい、助け合いのある住みよい地域社会づくりを進めることなど大会申し合わせを採択した。

出席者全員で「協同の大切さ」など大会申し合わせを採択。中央は代表して読み上げたJA尾張中央の石原組合長
出席者全員で「協同の大切さ」など大会申し合わせを採択。
中央は代表して読み上げたJA尾張中央の石原組合長

◆厳しい時代だからこそ大切な協同活動

家の光協会 江原正視会長
家の光協会
江原正視会長

 主催者あいさつで家の光協会の江原正視会長は、農業、農村をめぐる厳しい状況を指摘し、「こうした時代だからこそ人と人が触れあうこと、励まし合うこと、助け合うことが大切。文化と協同の力を頼りにJAに結集する1人ひとりのなかに決して逃げない、めげない、あきらめない未来志向の夢のある元気の火種を起こしていくことが必要だ」と呼びかけ、そのためにもJA教育文化活動に総力をあげ、組合員や地域住民が心の豊かさを実感できるような取り組みを進めることが大切だと強調した。
 また、『家の光』を「家族みんなで読む習慣をぜひ作って」と訴え、それによって話題を共有、地域にも広げることで農業や環境、相互扶助の大切さが伝わり「世の中がきっとよい方向に変わっていくと確信している」などと語った。

◆JA運動支える価値ある情報発信を

 来賓の神田真秋愛知県知事は同県が自動車産業などが盛んな県とのイメージがあるが、「実は農業生産額も全国6位。バランスのいい発展が大事だ。21世紀が環境の時代となるなか、農業の発展が環境を守り、豊かな暮らしにつながる」と話し、国際化、後継者不足など厳しい課題はあるが「地域のために故郷のために、第一線での活躍を」と期待を込めた。
 JA全中の宮田勇会長は、JA運動の「実践の基本は人にあることを心すべき」と強調し「協同の理念を深めJAに結集するためには継続的な教育文化活動の強化が重要」と話し、『家の光』について「JAと組合員、地域住民との結びつきを強めるコミュニケーションツールとして役割がある。価値ある情報の提供を期待する」などと述べた。
 また、野村弘JA愛知中央会会長・JA共済連経営管理委員会会長も大会開催県として歓迎のあいさつ。花など全国一の生産高を誇る愛知県農業を紹介しながら、共生の時代にふさわしい社会を実現するための文化と協同の力がJAに求められていることを強調した。

神田真秋 愛知県知事 JA全中 宮田勇会長 JA愛知中央会会長・JA共済連経営管理委員会会長 野村弘
神田真秋 愛知県知事
JA全中 宮田勇会長
JA愛知中央会会長・
JA共済連経営管理
委員会会長
野村弘

◆地域を守る第一線の貴重な体験発表

「記事活用の部」で農林水産大臣賞に選ばれた横山玲子さん
「記事活用の部」で
農林水産大臣賞に
選ばれた横山玲子さん
「普及・文化活動の部」でJA全中会長賞に選ばれた小野寺勝美さん
「普及・文化活動の部」で
JA全中会長賞に
選ばれた小野寺勝美さん

 体験発表は前日の都道府県大会で選ばれた代表者9名で行われた。このうち記事活用の部には、西村まさ子さん(山口県・JA下関)、岡田妙子さん(広島県・JA福山市)、石川シゲ子さん(岩手県・JAいわい東)、田中艶子さん(岐阜県・JAぎふ)、川上まり子さん(鳥取県・JA鳥取西部)、横山玲子さん(栃木県・JAはが野)の6名が出場した。
 審査の結果、農林水産大臣賞に選ばれたのは栃木県の横山玲子さんの「みどりの風と共に輝いて!」。
 農作業中の事故で夫が要介護状態になった横山さんは女性会の仲間に励まされ「夫と家族を守るには私には農業以外にないと決心」。経営主になることを選び、長男とともに就農、日本一のいちごを主幹作物に取り入れ生産者一年生としてチャレンジしはじめた。
 夫の介護と農業経営に前向きに取り組んでこれたのはJA女性会の仲間と『家の光』との出会いがあったから。同誌の介護特集を参考にしたりJA女性会の営農クラブの会員になって経営を学んだ。また、JAの正組合員にもなり今では理事会参与にも。
 「夫の事故で私の人生に大きな転機が来た。しかし、人の命の尊さ、農を通じて作物の力づよさを思い知らされた。大変だったからこそ今まで以上に家族の絆も強くなった。女性会の仲間がどれほど支えになったか、計り知れない。どんな状況でも勇気を持って乗り越え道が拓けることを信じて仲間とともに、力を合わせ誇りをもってさらに輝き続けたい」と発表した。
 普及文化活動の部には小野寺勝美さん(愛知県・JAあいち知多)、伊藤健蔵さん(北海道・JA士幌町)、千ア一郎さん(広島県・JA三次)の3名が出場した。
 審査の結果、JA全中会長賞に選ばれたのは小野寺勝美さんの「原点回帰と新たな挑戦!〜いつも一番に声をかけてもらえる存在を目指して〜」。
 JAあいち知多は、行政と商工会などと連携した「花半島事業構想」を立ち上げ地域特産の花と活気あふれた地域づくりを推進している。
 こうした地域貢献をJAは事業展開の柱として位置づけた。また、『家の光』増部運動もJAあいち知多全体としての運動として展開。「いかにたくさんの人に『家の光』に目を通してもらうかという趣旨」から、JA広報誌で誌面内容を紹介する取り組みも行った。
 普及運動の効果は金融部と営農部との連携による定期貯金と食育、農業体験をセットにした新商品開発にも現れてきた。「JAは営農から生活まで何でも見るのが強み。多くのJA事業にどう横串を通していくか、大きな課題」と語った。

◆教育文化活動はJAの総合力を発揮する「横串」

審査委員長の太田原高昭北海道大学名誉教授
審査委員長の
太田原高昭
北海道大学名誉教授

 審査委員長の太田原高昭北海道大学名誉教授は「今、日本列島各地の農村にはさまざまな地域問題が起きているが、女性部はその問題から逃げずに取り組んでいる。まさに女性部活動は地域を守る第一線の活動になっているという力強さを感じた」と語り、横山さんの発表について「自分自身の経験から、協同の力の尊さを身をもって感じ取って自ら正組合員、理事会参与にもなり、地域に育てられた自分が今度は地域をひっぱっていこうと決意されている姿が非常に感動を呼んだ」と講評した。また、地域で地球環境問題に取り組んでいる体験を発表した広島県の岡田妙子さんには審査委員会特別賞が贈られた。
 普及文化活動の小野寺さんの発表について太田原委員長は「JAはさまざまな事業をやっているがそれがばらばらに行われていたのでは協同活動にはならない。事業をひとつにつなぐ、団子の串、が教育文化活動である、ということを強調した。これは大変すばらしい提起。『家の光は(JA事業の)団子の串』を全国で流行らせていただきたい。それが『家の光』の位置づけを大変分かりやすく明確にしてくれるのではないか」と語った。
 大会では第58回家の光文化賞と19年度家の光文化賞促進賞、JA普及実績表彰なども行われた。
 大会の最後に参加者で、「協同することの大切さを学び参加・参画する仲間づくりに取り組み『人・組織・地域の元気づくり』をすすめます」など申し合わせを採択、明日からの教育文化活動への取り組み強化を誓った。

第54回家の光文化賞受賞JA
JAあきた北(虻川景一代表理事組合長)JA秋田おばこ(藤村正喜代表理事組合長)JAいるま野(小澤稔男代表理事組合長)JA鳥取中央(坂根國之代表理事組合長)JA福岡市(倉光一雄代表理事組合長)

19年度家の光文化賞促進賞受賞JA
JA会津みなみ(星安博代表理事組合長)JA京都市(溝川幸雄代表理事組合長)JA大阪南(中谷清代表理事組合長)JA尾道市(上野泉代表理事組合長)JAながさき県央(野中彌三代表理事組合長)

(2008.2.14)

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