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コラム 大宇宙・小宇宙
沖縄に想う

 太平洋戦争による地上戦の惨禍にさらされた沖縄は、24万人弱の犠牲を出した。

 さる6月23日は、犠牲になった人々を悼む「慰霊の日」であり、糸満市の平和記念公園では「沖縄全戦没者追悼式」が催され、稲嶺知事が、平和宣言を読んだ。
 森首相や沖縄在住のアメリカ軍の首脳も参加、哀悼の意を表した。

 本戦争による死亡者は、日本全体で、軍人、民間人合わせて186万人といわれるので、沖縄だけで実に13%弱の数に達することになる。まことに悲しみに堪えない。

 幸いなことに、太平洋戦争の終わった1945年から、今日まで55年間、日本は戦争の経験をしていない。

 ところで、明治になり、陸軍師団編成が行われて、近代的な軍事体制が整った1888年から、1945年までの58年間のうち、22年間は海外に出兵している。2年に1度とはいわずとも、2年半に1度は出兵している。

 当然、軍事費の負担も大きかったわけで、一般会計と臨時軍事費の合計額に占める直接軍事費の割合は、海外出兵のなかった36年間の平均が37.9%であったのに対し、出兵のあった22年間の平均は59.1%と高い。
 とくに、1894〜95年の日清戦争の際は、67.3%、1904〜5年の日露戦争時は、82.1%とひと際高く、1937年の日華事変から45年の太平洋戦争の終わるまでの9年間も75.4%で、毎年の予算の4分の3は、戦争のために投入されていた。

 実額でいうと、この9年間に、臨時軍事費特別会計1554億円、一般会計中の軍事費382億円、それに臨時事件費(日華事変等は事件であって、戦争ではないという理屈があった)と合計7559億円に達しており、日銀の総合卸売物価戦前基準指数を用いて、1999年の物価に換算してみると、156兆円を超える。

 経済安定本部が49年に発表した「太平洋戦争による我が国の被害総合報告書」によれば、人的被害は、死亡者186万人(うち軍人・軍属156万人、民間人30万人)、負傷者、行方不明者68万人(うち軍人・軍属31万人、民間人37万人)、合わせて254万人となっている。

 一方、物的被害は、国富2936億円(一般資産2532億円、軍備404億円)のうち被害額1047億円と算出されている。
 被害額は、今の物価に引き直してみると、22兆円となる。97年末の国富が7400兆円を超えている現在の目から見ると小さいと思うかも知れないが、22兆円は、当時の国富の35.7%に当たるのであって、国富のほぼ4割が失われるという惨状を招いている。

 しかも、この戦争は、日本に以上のような被害をもたらしただけでなく、大陸や東南アジアの国々に、これまた大きな被害と、悲しみを与えたことを忘れてはなるまい。

(MMC)


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