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コラム
大宇宙・小宇宙

子供超大人未満


 だれしも、そのむかし「子供のくせに駄目」「もう大人なんだろ」と場面場面で言い方を変える親たちに、腹を立てた経験があるに違いない。
 では、子供と大人の境界線はどこにあるのだろうか。出生から死に至るまでの連続した人の一生は、肉体的にも精神的にも成長の度合いに個人差があるし、社会環境の変化も加わるので、実際問題として子供と大人の境界を一律に区切ることはなかなか難しい。
 徳川時代までの社会では、12〜17歳ころの元服の儀式を境に、子供と大人の世界を分けていたが、明治31年(1898)7月施行の民法第3条では「満二〇年ヲ以テ成年トス」と定め、そのまま現在に至っている。
 1月14日は「成人の日」(今年の場合)として国の祝日となっており、多くの地方自治体では、満20歳になった成人男女を対象に、様々な行事を催している。
 選挙権も同様に20歳以上の男女に与えられており、健康上の問題は別として、20歳になれば、晴れて酒も飲めるし、煙草も吸うことができる。
 ところが20歳の境界とは別に、結婚は男性の場合18歳以上、女性では16歳以上で認められており、車の免許も自動車は18歳以上、オートバイは16歳以上で取得できる。
 選挙権も、世界の過半は18歳以上に付与されており、日本でも最近、愛知県高浜市や秋田県岩城町で住民投票資格を18歳に引き下げている。
 国勢調査の年齢3区分は、0〜14歳、15〜64歳、65歳以上となっており、戦中戦後の年齢別主穀配給量(昭和21年)は、11〜15歳、16〜25歳、26〜60歳と中間年齢を3区分して配給量を異にしていた。
 これらを見ると、20歳の境界線とは別に「一人前」の扱いは、15、6歳にまで引き下がっている。確かに15、6歳の息子と50代の父親が相撲しても、おやじの勝目は少ないだろう。
 「いまどきの17歳」に代表される少年事件多発の一因には、子供に対しての大人の無理解がある一方、大人と同じ事件をおこしても「少年法」や「児童福祉法」で守られている少年への対処は軽くてすむという子供側の読みもある。
 因みに「少年法」では「少年とは20歳に満たない者をいい」、「児童福祉法」では「児童とは満18歳に満たない者をいい」、「児童のうち小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者を少年と分ける」としており、非行に対しての処置が大人の世界とは別になっている。
 英語でティーンエイジャーは13〜19歳を指し、「青春期」と訳されているが、さらに13〜15歳はローティーンズ、16〜17歳はミドルティーンズ、18〜19歳はハイティーンズと区別している。
 各段階のティーンズは、ほぼ中学、高校それに大学前半の就学期に該当し、人格形成の途上にある。そして日本の次代を背負う大切な宝物である。
 子供と大人の境界線上に位置する「子供超大人未満」のティーンエイジャーたちは、子供でも大人でもない、同時に子供でも大人でもあるという意味で、まさに「中供」である。
 われわれ大人たちは、「子供のくせに駄目」「もう大人なんだろ」と中供を叱る前に、彼らが抱えるさまざまな悩みによく耳を傾け、彼らがヨリ良い判断で行動できるような助力者となりたいものである。(MMC)


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