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シリーズ 第23回JA全国大会に向け“改革の風”送るJA目ざして
「食の安全・安心」追求で地域農業振興を

上野松年 JA菊池地域代表理事組合長

 第22回JA全国大会決議の進捗状況や課題などをJA全中の「JA改革推進会議」委員であるJA組合長に聞いた。今回は連載2回目。JA菊池地域の上野組合長は、消費者意識の変化など来年の第23回JA全国大会をめぐる情勢を挙げ、「食」の安全と安心の確保に向けた改革に真剣に取り組む必要があるとした。また同JAとしての多くの課題のうち現在、策定中の第5次地域農業振興計画に盛り込むテーマなども語った。なお組合長は「JA改革推進会議」で、同JAが6年前に断行した厳しい事業・組織改革について示唆に富む経験を報告した。

上野松年代表理事組合長
上野松年
代表理事組合長

 「JAは地域農業振興の核としての役割を発揮します」という第22回JA全国大会決議にもとづき、農業振興を最重点に置いて取り組んでいます。農畜産物の販売価格が下がる中で、どうやって農家所得を確保するか、農家の期待に応えるために農協はどうあるべきか、などの課題があり、私は目標として「組合員にとって、なくてはならない農協」「組合員が誇れる農協」を掲げています。
 ところが昨年からBSE、表示の偽装、無登録農薬などの問題が続発し、消費者の不信が高まりました。農家と農協にとっては大変なピンチですが、一方では、時代が大きく変化し、消費者の意識も変わってきているという転換点に気付くことができたともいえます。 これからの農業は消費者の理解がなければやっていけない、従来のあり方を見直すべきだ、と気付いた点で、私はこれを改革加速のチャンスだと見ています。
 例えば中国野菜の輸入攻勢は価格面では防ぎ切れません。勝負どころは、やはり信頼性です。今が食の安全・安心対策を確立するためには願ってもないチャンスだととらえています。
 安全・安心対策は来年のJA全国大会成功に向けた大きなテーマの一つです。
 熊本県は環境保全型農業を進めるエコファーマーの認定者が全国一位です。JA菊池でも野菜の主要生産部会15がすべて認定を申請中で、すでにキュウリとイチゴでは認定を受けました。
 生産履歴を追跡できるトレーサビリティシステムについても国の来年度導入プランに沿って、組合員に訴え、認識を高め、推進を図る考えです。こうして戦略的に『きくちのまんまブランド』を売り込んでいきます。
 今、第5次新農業振興計画を策定中ですが、流通面では市場出荷を、どれくらい地産地消なり産直型に変えていけるかというテーマもあります。
 直売店は2店あり、非常に好調なので今年度中に2店を増やして計4店にします。またイオングループからの要請に応え、十一月からはスーパーにインショップを出します。
 私は農協の将来は人材育成にかかっているとして、職員教育に力を入れてきました。販売部門の充実と生産・販売企画専任者の育成という先の大会の課題については情勢の変化に対応できるように机上の教育だけでなく、仕事や目標も与えて実践でマーケティングから見た企画のできる人材を育成していく考えです。
 すでに畜産部門では経営困難な農家を対象にした畜産再建対策部署を課に昇格させ、専任体制で経営指導を行っています。耕種部門でも経営指導のできる営農指導体制を目ざします。
 組織改革では、平成元年のJA合併時、40あった本支所を8年には18に統合し、800人いた職員も650人体制としました。厳しい改革でしたが、要するに役職員のやる気と知恵を引っ張り出すことです。
 以上、JA菊池地域の取り組みを述べましたが、来年のJA全国大会をにらんでの課題はほかにたくさんあります。その中で二つ挙げて置きますと、財務内容の健全化、それにコンプライアンスの徹底です。これは外部から指摘されるまでもなく、当然、追求しなければならない課題です。




農業協同組合新聞(社団法人農協協会)
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