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【三井化学アグロ】
新たな価値創造に取組む

光るパイプラインの充実

 新たに農薬会社が誕生した。4月1日付けで、三井化学の農業化学品事業を会社分割に...

 新たに農薬会社が誕生した。4月1日付けで、三井化学の農業化学品事業を会社分割により継承し、同日付けで三共アグロが「三井化学アグロ(株)」に社名変更したもの。
 「三井化学グループの農業化学品事業の運営を一体化し、研究開発、顧客サービスなどについて、よりいっそうの向上を目指す」というのは、新会社の舵取りをまかされた金井健彦社長。本紙の取材に答えた。
 今回の統合は、三井化学の原体開発力と歴史的にも確たる流通戦略を構築している三共アグロによるシナジー効果の最大化を目指したもの。2015年には、売上高650億円を目指している。
 その礎の一つともなっているのが原体(有効成分)パイプラインの充実で、生産者・業界から期待がよせられている。
 09年には殺菌剤の「ペンチオピラド」(有効成分)、殺虫剤の「レピメクチン」(同)が登場しそうだ。これに続くパイプラインとして8化合物がノミネートされており、その実用化が待たれている。
 「世界最高レベルの機能をもつ先端農薬・生活環境薬剤を創出する創薬型企業に向けて、新たな価値創造に取組む」という金井社長。これまでの経験を、「元気な日本農業の構築のために生かしたい」は極めて新鮮だ。
【解説】
 この数年、中外、塩野義、武田、そして三共と、「医薬への特化戦略」のもとに農薬事業の分離が行われてきた。今回の新会社発足により、旧医薬系農薬メーカーの「ブランド名」が消えたことになる。
 新会社は、「日本農業の明日のために」の志をしっかりもっており、行く末はおおいに期待できるだろう。
 敢えて、農業資材総合メーカーだった三井が、結局は農薬しか残せなかったという現実を関係者は直視しなければならない。

(2009.04.24)