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【田中貴金属工業】
食肉中の豚肉検出が簡単に  田中貴金属がキットを開発

 田中貴金属工業は食品の中の豚肉を高感度で検出する「簡易検出キット」の提供を4月から始める。

 牛のひき肉に豚肉を混入させた「ミートホープ」の偽装事件など食肉加工に関わる問題を背景にした開発だ。また豚を禁忌とするイスラム教徒の人口増加と、食品市場拡大も見込んだ。
 従来の検査は特別の技術と設備と時間を必要としたため多くの食品加工・販売業者は十分に検査できないというのが実態。
 しかし新しいキットなら特別な装置や技術なしで10〜15分程度で検査できてしかもコストは従来の3分の1以下の圧倒的安価になるという。このため抜き取り検査回数を増やすことができる。
 同キットは、ナノレベルのサイズに加工した金の粒子を安定的に分散させた「金ナノコロイド」を活用して、標識色素を目視で確認する「イムノクロマト法」という測定法を採用した。
 最小検出感度は加工食品中で0・1%、非加熱食品中で0・005%となっており、機材の洗浄不足で起こる混入も検出できる。
 同社は企業向けに初年度で毎月3万テストの販売を目指し、将来的には毎月10万テストをねらう。すでに4月上旬の「2010食肉産業展」(東京ビッグサイト)に出展して検査のデモも行った。
 成長が見込まれるイスラム食品市場ではマレーシアやブルネイが戒律に従って処理された「ハラル食品」の認定や流通を一括して担うハブを目指しているため、このキットの需要拡大が期待される。
 田中貴金属工業(東京)は貴金属地金と工業用貴金属の製造、販売、輸出入の会社。

イムノクロマト法の検出原理

(2010.04.12)