ブックガイド

ブックガイド

一覧に戻る

農協運動に生きる

農協運動に生きる
(社)家の光協会 編

【発行所】(社)家の光協会

【発行日】2009年4月

【電   話】03−3266−9029

【定   価】1200円

評者名:山内偉生
本紙論説委員

 家の光協会では、教育文化活動を農協運動の「土壌づくり」と位置づけて、農協トップ向け情報誌として「JA教育文化」を刊行している。本書は、この「JA教育文化」の中で「農協運動を生きる!」に掲載された全国各地のリーダーの活躍記録を単行本として再編集したものである。 登場人物は、掲載順に石田正人(長野・北信州みゆき顧問)、萬代宣雄(島根・いずも組合長)、林正照(愛媛・えひめ南組合長)、木村春雄(宮城・みどりの会長)、綾部哲具(福岡・筑紫組合長)、坂根國之(鳥取・鳥取中央組合長)、志村善一(神奈川・横浜組合長)、上村幸男(熊本・菊池組合長)、石橋芳春(和歌山・紀の里組合長)、穴田甚朗(富山・高岡組合長...

 家の光協会では、教育文化活動を農協運動の「土壌づくり」と位置づけて、農協トップ向け情報誌として「JA教育文化」を刊行している。本書は、この「JA教育文化」の中で「農協運動を生きる!」に掲載された全国各地のリーダーの活躍記録を単行本として再編集したものである。
 登場人物は、掲載順に石田正人(長野・北信州みゆき顧問)、萬代宣雄(島根・いずも組合長)、林正照(愛媛・えひめ南組合長)、木村春雄(宮城・みどりの会長)、綾部哲具(福岡・筑紫組合長)、坂根國之(鳥取・鳥取中央組合長)、志村善一(神奈川・横浜組合長)、上村幸男(熊本・菊池組合長)、石橋芳春(和歌山・紀の里組合長)、穴田甚朗(富山・高岡組合長)の十氏である。
 常に組合員のためにという協同組合理念に燃えたトップリーダーの固い信念と弛まぬ運動の足跡が、じつにコンパクトに読みやすく纏められている。どのリーダーも、素晴らしい指導力をお持ちだが、農協運営の責任者としてそれぞれの地域の特性を活かしたユニークな事業展開を図っている。
 すべてのリーダーに共通しているのは、協同組合運動への基本的な思念、あるいは自律的な規範があることだ。第一は、組合員のためにという一途なまでの信条である。役職員が組合員の中に身を挺して、お互いに心が通い合う絆をつくりあげることを組織活動の原点として希求し続けている。
 第二は、それぞれの地域の優位性を武器にした販売活動の展開である。地元の特産物に着目しブランド化を進め、組合員農家にやる気を起こさせ農業所得の増大につなげていく積極的な経営姿勢が随所に見られる。
 第三は、女性たちの農協経営への積極的な参画促進である。農協女性部の地域活動、とくに介護施設など福祉厚生分野への主体的な役割発揮が顕著に見られる。また、農協理事として経営の執行体制入りを推進している。
 第四は、役職員に対する協同組合理念の徹底的な教育と現場主義に基づく組合長イズムの浸透がある。自分の気持ちを職員にぶつけるとともに、職員の声に耳を傾け、お互いに研鑽に励むトップの真摯な姿勢に頭が下がる思いだ。
 序文において、太田原高昭先生(北大名誉教授)が『「農業」「協同」組合であるという原点を譲らずにがんばってきたこの人たちの努力と成果の記録は、未来を築いていくために、ひとり農協界に限らず超一級の情報となろう。』と評価された。多くの方々に読んで頂きたい『元気が出る』一冊である。

(2009.05.19)