コラム

本紙論説委員のソウル・レポート

一覧に戻る

【山内偉生】
ソウル・レポート(2)  本紙論説委員 山内偉生

 韓国農民新聞社元副社長曺瑛基(ジョウヨンギ)さんの招きでソウルに行き、僅か4日間の滞在であったが多くの示唆を受けた。前回のレポートでは、韓国農協中央会の農業博物館について報告したが、今回は農協中央会(NH)全額出資の巨大食料品専門販売店を紹介したい。それは、韓国のディスカウントストアで第一位の売り上げを誇る「農協ハナロクラブ良才(ヤンジェ)店」である。

ソウル・レポート(2) ハナロとは、ハナは「一つ」で、口は「向かって」であり、「一つの共通目的に向かって」を意味していると思う。敷地面積は2万3000坪、売り場面積は約7000坪という広大さである。ソウル都心から近く、「果物、野菜、畜産、特産の加工品は韓国国産のみ販売」という販売姿勢に共感する市民。消費者から歓
迎されている。生鮮野菜や肉類など品揃えの見事さと売り場を縦横に走る広い通路に驚かされる。農協からの出荷ダンボールには、農協名と「身土不二」と書かれており印象的だった。
 紅参(朝鮮人参)の売り場は「農協高麗人参」というコーナーで大々的に売られており、キムチ売り場も広い。キムチ専用冷蔵庫も併せて販売されている。
 日本からの買物客も多いようで、日本語のパンフレットが用意されている。さらに、目本のJA関係者の訪問に応ずるために、案内ビデオも準備されている。
ソウル・レポート(2) 農協中央会は、1000坪以上のハナロ・クラブを6店舗、1000坪以下のハナロ・マートを24店舗所有。「世界唯一の卸売・直販の総合システムで農産物の流通革新をリードします。」と提唱し、生産農家と消費者に喜ばれる販売事業を全国的に展開している。ハナロの店舗は、農村アイ(愛)運動の拠点にもなっており、自然、消費者、地域社会と共存を目標に掲げる。「We Love Farm!農村が笑ってはじめて都市も笑います。活気あふれる農村作り、農協がお手伝いします。」という標語に、思わず笑みが浮かんだ。

(2010.01.21)