コラム

「正義派の農政論」

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【森島 賢】
減反選択制の挫折

 農水大臣が目指していた減反選択制は、総選挙を目の前にし、与党などの反発にあって断念することになった。残念なことだろう。

 農水大臣が目指していた減反選択制は、総選挙を目の前にし、与党などの反発にあって断念することになった。
 残念なことだろう。いっそのこと、減反など止めた方が良いと筆者も思う。他人から米を作れとか、作るな、などと言われたくないだろう。
 だがしかし、減反を選択制にすれば、多くの農家は減反を止めるに違いない。その結果、米価が下がるだろう。農家の困窮は目に見えている。何年かたてば、そのうち上がるだろうというのだが、あてにならない。
 それにまた、この政策は農村を減反派と非減反派に分けて、両派の反目に油を注ぐことにもなる。これは不正義だ。

 そうではなく、減反廃止へ向けた骨太な政策を立てるべきだ。その背骨は米粉への集中的かつ恒久的な政策支援である。米粉の需要量は無限にある。減反などやっていられない。農村には減反派も非減反派もいなくなる。
 それには莫大な財政負担が必要になる、だから反対だという議論もあるだろう。しかし米のための財源をこの政策に集中すれば良い。その金額はそれほど多くはない。
 この政策は、食糧の安全保障の政策なのだ。米粉パンを普及させれば、いま外国から輸入しているパン用の小麦の輸入量を減らせる。食糧自給率は目覚しく上がる。
 この正義の政策の財源確保には、防衛省も協力してくれるのではないだろうか。

(前回 農水大臣は市場原理主義者か

(2009.06.06)