コラム

「正義派の農政論」

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【森島 賢】
米の棚上げ備蓄を具体化せよ

 先週末の国会で、鳩山首相が米の備蓄を棚上げ方式にする、と明言した。このことは、これまで赤松農相が何回も発言しているが、こんどは、首相の言明であるだけに重い。
 だが、その細部は明確になっていない。今後、早急に詰めねばならない。これは、今後の米需給、ことに主食米の需給に重大な影響を及ぼす。だから、米価に及ぼす影響は大きい。また、今後の減反緩和にもつながる。それゆえ、その具体化は急務である。
 新しい米政策には、豊作などによる過剰米の処理策がない。ここに農業者は不安をつのらせている。だが、備蓄量を加減することで過剰米の処理はできる。政府はそうするつもりなのだろうか。そうならそうと明言して不安を解消すべきだろう。
 そうすれば、豊作になったとき、過剰米による米価下落の不安がなくなる。農業者は、実に半世紀ぶりに豊作を喜ぶことができる。国民は、こぞって豊作に感謝することができる。

 これまでに、明らかになっていることは、首相がいう()ように、棚上げ方式にすること、つまり、役割を終えた古い備蓄米は加工用や飼料用などで放出し、主食用としては放出しないことと、国産米の100万トンと輸入米の70万トンの合計170万トンを備蓄して、市場から隔離する、というだけである。骨格が示されただけで、細部は分からない。
 いうまでもなく、備蓄米とは本来、米不足になったとき、主食用として放出するものである。平常時は主食用として放出しないで、どういう事態になったら米不足と考え、主食用として放出するのか、放出基準を明確にしておかねばならない。
 放出基準をあいまいにしておくと、いままでのように、いわゆる備蓄米が在庫圧力になって市場を圧迫し、米価下落の原因になる。放出基準を明確にしておけば、平常時は主食用として放出しないのだから、米価を回復できる。それどころか、備蓄量を増やしても米価を圧迫することはない。

 公約では備蓄量を300万トンに増やす、としていた。これは高く評価されていた。だが、170万トンに減らそうとしている。何故か。それは過渡期の激変緩和のためで、4年後には300万トンにする、というのだろうか。
 どうも4年後も170万トンと考えているようだ。もしもそうだとすれば、これは重大な公約違反である。この点も明らかにして釈明すべきだろう。

 農相は、棚上げ備蓄方式に代えるのは今年からだ、と言っている。そうすれば、いまの政府の需給見通しは大幅に修正しなければならない。その結果、減反面積を緩和することになる。しかし、生産数量目標はすでに決めていて、地域への配分も終わろうとしている。だから、修正はほとんど不可能だろう。
 この点は、どのようにして、つじつま合わせをするのだろうか。机の上だけの、計算上のつじつま合わせではなく、政策の裏づけのある需給見通しの、政策のつじつま合わせが求められている。
 主要な食糧の需給について、明確な見通しをもっておくことは、どんな国でも政府の最重要な責任である。政府は、このことを肝に銘じておかねばなるまい。


ココをクリックすると3月5日の参議院予算委員会の録画動画が出ます。急に大きな音がでますが、昼の休憩が終わり、午後の部が始まってから2時間49分後に、この発言があります。


(前回 6次産業化法の理念を高く掲げよ

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(2010.03.15)