コラム

落ち穂

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【駄々っ子】
「遠きをはかる...」

 16連休、あるいは12連休、不況でみんなが皆必ずしも喜べない長いゴールデンウイークが終わった。高速道路料金の値下げで道路が込み、海外渡航者はマスクをした姿がTVに映るが、年寄りには無縁な世界。精々、家庭内自給率を高めるべく、5年来借りている小さな菜園に、トマト・きゅうり・なす、晩酌のお供にと枝豆を植える。朝晩は犬と田んぼの周りを散歩。田んぼは水を張り、代かき、田植えもほぼ終わった。

 16連休、あるいは12連休、不況でみんなが皆必ずしも喜べない長いゴールデンウイークが終わった。高速道路料金の値下げで道路が込み、海外渡航者はマスクをした姿がTVに映るが、年寄りには無縁な世界。精々、家庭内自給率を高めるべく、5年来借りている小さな菜園に、トマト・きゅうり・なす、晩酌のお供にと枝豆を植える。朝晩は犬と田んぼの周りを散歩。田んぼは水を張り、代かき、田植えもほぼ終わった。
 だれ(農水大臣です)かが、トラクターの出現が日本の農業を変えたと、ある週刊誌で語っていたが、たしかにトラクターは牛馬に代わり、田起こし、代かき、あぜ塗り(造り)までやってしまう。おかげで農家は牛馬の世話もいらず、農作業が楽になり兼業が可能になった。これまでいくら叫べど、大規模化がすすまない大きな要因なのかもしれない。でも、いまさら元に戻せない。
 そんな中、15兆円にも及ぶ補正予算案が提出され、農林関係も1兆円強が組まれる。農地法が耕作者主義を残しつつも所有から利用に衣替えされ、水田フル活用対策元年とかで、米粉・飼料用米などの生産拡大に向けて、少なくない助成金が交付されるという。また、必要悪?だった生産調整(減反)がようやく見直しの舞台に。まさに今、日本農業は一大転換点に立っていよう。
 でも、これらの農業政策は目先の選挙対策?100年先とはいわずとも、10年、20年先の日本農業を俯瞰したものではないように思う。米粉は500万トンものの需要のある小麦粉に、飼料用米は莫大な輸入量のトウモロコシに代替する可能性のある作物、いや稲だ。ならば、耕作放棄地の解消を含め、それこそ「水田フル活用」を高らかに宣言してはどうか。食料自給率70%、80%への舵取りが農家や国民の安心を生もう。
 しかし、定額給付金とやらで2兆円をばらまき、車の使用量が増えると環境問題に逆行するといいながら、高速道路料金を大幅に値下げする。大きく世界、いや、小さなこの国の未来のかたちを一向に示せない。幕末の救世者、二宮金次郎のことばに「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」がある。残念ながら、この国は政治も企業も、いや、国民すら目先ばかりみているのやもしれない。

(2009.05.11)