コラム

吉武輝子のメッセージ JAの女性たちへ

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【吉武輝子】
社会にメッセージ発信しようよ

 1年越しに準備をすすめていた「七人会」がようやく発足することになった。「七人会...

 1年越しに準備をすすめていた「七人会」がようやく発足することになった。「七人会」の正式呼称は「ななにんかい」。

な・・・・・泣いてるね
な・・・・・悩んでるね
に・・・・・ニッコリ笑ってごらん
ん・・・・・ん、ん、ほら
か・・・・・変われるよ
い・・・・・いつでも、いくらでもネ

 これが「ななにんかい」の心意気だが、格差社会の中で生きにくくなっている人たちに、人生って谷あり、山ありだけど、でも生きてるって素晴らしいことだよねとのメッセージを送りたいなと心底願い、「朗読と語りの会」の立ち上げに全力を傾けてきたのである。メンバーは俳優座の岩崎加根子さん、同人会の高田敏江さん、俳優の竹下景子さん、タレントの山田邦子さん、歌手のクミコさん、フリーアナウンサーで語りの名手深野弘子さん、そして言い出しっぺの吉武輝子の七人。
 かって時代劇の王国東映の宣伝プロデューサーだったせいか、イベント大好き人間で、これまでも女ばかりの反戦、平和、護憲、平等の集会を数多く企画、実現してきた。友人は「吉武プロダクション」とからかうが、私のたった1つの自慢は、人持ち。20年間、難病指定の膠原病と付き合い、幾たびか死に直面させられてきたが、死ぬのも残されて生きるも、人間みな一人旅と、人間の存在としての孤独を実感して以来、自分の言動で他人の存在として孤独感を深めることだけはしまいと言い聞かせながら生きているうちに、自分でもびっくりするくらいの大人持ちになっていた。
 イベントを企画しても、快く参加してくれる人がいなければ企画倒れでおしまいになってしまう。ありがたいことにどなたに声をかけても、よほどのことがない限り「吉武さんに頼まれるといやと言えないのよね」と快く引き受けてくださる。「七人会」も、わたくし自身がびっくりするくらい、この指止まれと差し出した指に、全員が止まってくださった。
 岩崎加根子さんは3年前、わたくしが5年がかりで書き上げた「置き去りサハリン残留日本女性の記録」(海竜社)を、俳優座主催の敗戦記念の朗読会で読んでくださった。以来志を同じにする女同士の付き合いを丁寧に紡いできた。高田敏江さんは、敏江さん18歳、わたくし22歳。向こうは東映のニューフェイス、こちらは宣伝プロデューサー。本社の宣伝部に挨拶にこられた敏江さんと話しているうちに、この知的で人柄のいい女性が映画で使い捨てされるのがもったいなく思われてならなかった。やがて民芸に移り、大抜擢されたと知ったときはほっと胸をなでおろした。20数年前に偶然出会い、絆をつむぎ返していくうちに、さまざまな集いに参加してくださるようになっていった。
 竹下景子さんや山田邦子さんや、クミコさんや深野弘子さんは「神楽坂女性合唱団」のお仲間である。わたくしは最年長者だが、後輩たちが年を重ねて生きることが楽しいよねとの思いを持って欲しいと、月3回の練習日には気張っておしゃれをして出かけていく。部屋に入ったとたんみんなに投げキッス。全員が返してくださるので心の奥底に人持ちの喜びがずっしり。10年間のお付き合いの間に信頼感が芽生えていったのだろう。差し出した指にバッタみたいに飛びついてくださった。
 スタートは来年の1月27日。「どんなことがあっても平和じゃなくっちゃ」とのメッセージをそれぞれのやり方で贈ろうよとみな、心弾ませてレパートリーに工夫を凝らしている。女は命の守り手。胸の中に平和の祈りを満ち溢れさせながら生きている。みんなで其の思いを社会に発信させましょうよ。ねっ!

(2007.08.28)