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【東京大学大学院 特任教授】
西澤 直子 氏

 イタイイタイ病の原因物質として知られるカドミウムは、拡散防止条例などによりヒトの摂取が減ったとはいえ、いまだ土壌に蓄積されていることもある。西澤教授は7月21日、都内で開かれたシンポジウム「ここまできた!お米の研究最前線」で、品種改良したイネ(たちすがた)を使って農地からカドミウムを除去する技術について発表した。

 イネはカドミウム集積力が高いため、日本人のカドミウム摂取のおよそ2分の1はコメによるものだ。西澤教授の研究グループは、植物を使って農地(土壌)を浄化する技術開発(ファイトレメディエーション)に取り組み、カドミウム高蓄積に関する3つの遺伝子群をマーカー選抜し、「たちすがた」に導入した。
 実験では改良した同品種を3作栽培した後、土壌のカドミウム濃度は大幅に減少した。
 西澤氏は、「既存の機械を使って稲ワラごと収穫することで、土壌からカドミウムを取り除ける。稲ワラはバイオエタノールの原料にもなるので、土壌を浄化しながらバイオ資源を作れる一石二鳥の技術だ」と紹介した。

超多収米、高い耐病性でおいしいコメなどのゲノム研究最前線

(2010.08.03)