建設機械の世界的メーカーであるコマツは、日本の多くの企業が地方の工場を閉鎖し新興国などに生産拠点を移しているなか、基幹部品の生産を国内に集中し、本社機能の一部を東京ではなく同社発祥の地である石川県におくなど「地方回帰」を実践している。
　これは「地方に軸足を置き、地方回帰で強くなる」という坂根氏の考え方を実践した例である。製品を輸出するために神戸港や横浜港に運ぶのではなく、地元・金沢に工場をつくることで金沢港を深くしてもらうなど、地方活性化を実現している。
　「コマツがめざすのは６次産業」だという。しかし「１次・２次・３次を一気通貫でいかないと付加価値は出てこない」。だから、「農業だけが地方にあったって、そういう発展の仕方にはならない。コマツのような企業が地方で強さを発揮するためにも、そばに農業の強さがあることが大事」だと指摘する。そうした強い農業を実現するためには、「農業だけでなく２次産業の企業や大学などの研究機関を含めて、一緒になって地方を強くしていく」ことが必要だと強調した。

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