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【JAいずも代表理事常務(島根県)】
井上 幸雄 氏

 「農協運動の仲間たちが贈る 第35回農協人文化賞」信用事業部門受賞。
 受賞者のこれまでのあゆみを紹介する。

現場主義 職場に徹底

◆銀行時代の経験生かし

 私は、地方銀行からJAいずもに招聘されて着任し、早や7年を迎えようとしています。銀行時代、島根県ではJAいずもが競争相手の大きな一角を占めていました。それは出雲市の指定金融機関を奪われて以来の歴史でもありました。私の銀行生活40余年の中で、3年間だけ出身地出雲市の島根医大通支店長として勤務し、JAいずもと戦いながら3年連続優績店としての成果を残しました。
 その敵陣へ、そしてまた信用部門を担当する宿命には、大きな惑いがありました。しかし、任に就けば燃える性格上、銀行と戦う一方、協調も他金融機関以上に心を砕いて、地域では互角かつ銀行の先輩として、市内の銀行の支店長をも指導して参りました。

◆組合員との絆を深め

ATM壁文字、屋外ATMの利用率向上をめざし、壁面看板で存在をRP ただ、民間金融機関の株式会社組織の中で育った私にとって、農協組織、すなわち組合員が全て株主であり、組織決定を基本とする農協の風土には大きな壁がありました。組合員からの要請と、農協経営に民間の手法を導入せんとする私の趣意がぶつかり、その狭間での葛藤の連続に悩むことは少なくありませんでした。
 また、強引に企画を実行する場面もありましたが、何とか成果に救われて今日があります。今や組合員そして総代・理事の皆さんと絆を深めることで、調和を保つ自己に満足しております。

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ATM壁文字、屋外ATMの利用率向上をめざし、壁面看板で存在をRP


◆財務の強化で組織を守る

全31ヶ店でカウンターに金魚を飼育。美粧化の一助としている 私の毎年の「マニフェスト」は毎日の行動源として、政党のマニフェストとは異なり、実行実現への指針として演出し得るものであると自負しています。銀行時代に日本国内はもとより、海外も見聞して得た多くの人脈が農協でも種々成果に繋がっていると思います。私は仕事を趣味とする傾向があり、総合農協の強味をフルに活用し、様々な商品開発を行う一方、人脈を活用しての不良債権処理にも邁進し、目下、横綱相撲を取れる金融・共済の体制を構築しつつあります。
 一方、日本の文化は全て農耕・農業から生まれ、成熟して来たとの信念の下、数多くの商品開発活動にも文化的側面を忘れず、絶えずメセナ事業をセットし、歴史と文化の色彩濃き営業を指導しております。農協でも種々成果に繋がっていると思います。
 日本の農協組織の永続性を期すには、財務体質の強化があってこそ組織が守れ、さらに組合員のみなさまに、出資配当・利用高配当・ポイント還元等で喜んでもらえる体制が必須であります。とりわけ、金融・共済部門では信用力の基盤が問われ、銀行に負けない自己資本比率の向上が最重要課題で、“安心して農協に全てを委ねる”との信頼関係が構築されてこそ、農協金融の礎があるとの原則を胸に、走り続けた7年間であります。

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全31ヶ店でカウンターに金魚を飼育。美粧化の一助としている

◆根っこは現場にあり

日々の金利はもちろん、金融、共済の商品説明、他部門のトピックスを全て全店に報道 今は、出雲大社60年に一度の大遷宮に併せ、“出雲弁の再生をめざす”特別定期の発売と、出雲弁を単なる方言から「出雲言葉」にまで昇華させ、島根県の重要無形文化財への申請と、若者・孫達に伝承すべき活動に注力中であります。
 農協組織も企業組織・地域組織も、全て根っこは現場にあり、現場主義を徹底すると共に、仕事は愉しく、しかし“数字は冷酷である”と訴え、明るい職場づくり、店舗の美粧化を図りつつ、各目標に対して飽くなきまで数字を追い続ける風土を醸成し、組織・職員の前進的日常を共有せんと邁進する日々であります。

(写真)
日々の金利はもちろん、金融、共済の商品説明、他部門のトピックスを全て全店に報道


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