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【明治大学教授】
小田切 徳美 氏

 「地方創生」がいよいよ動き出した。政府は、昨年(2014年)12月に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と「長期ビジョン」を決定した。しかし、その「長期ビジョン」を見ると、過去からの人口の長期動向は語られているが、その過程でどのような問題が、地方、特に農山村に生じたかのリアルな認識はない。

 1960年代から70年代前半の高度経済成長期には、若者を中心に激しい人口流出が生じた。いわゆる過疎化現象であり、「人の空洞化」とも言える。その後、そうした地域では、残った親世代の高齢化により、農林業が地域内の人々では担えなくなり、一挙に農林地が荒廃化する「土地の空洞化」が生じた。80年代中頃以降、耕作放棄地の急増を契機に中山間地域問題が議論されるようになったのはこのような背景がある。そして、90年代には、「むらの空洞化」が発生する。人口流出や生活様式の変化の波にさらされながらもその機能を維持してきた集落(むら)も、住民のさらなる高齢化や世帯数の減少により、揺らぎ始めたのである。相互扶助の力が低下し、道普請や水路清掃という共同作業さえも継続が困難化する集落も現れている。
 このように、農山村では、人、土地、むらの3つの空洞化が、段階的に、そして折り重なるように進んでいる・・・

(続きは 【提言】「人の空洞化」・「土地の空洞化」・「むらの空洞化」へ 小田切徳美・明治大学教授 で)

(2015.01.19)