農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

販売対策強化を軸に担い手支援策見直し

−JA全農

 JA全農は、担い手への対応強化や生産者・組合員の手取り最大化などを柱とした「新生プラン」を実践しているが、この2年間の総括に基づいて「担い手支援策」ではメニュー見直しなどを検討することにしている。  JA全農の担い手支援対策は、全国基準と県域基準に基づいてリストアップした担い手に対してJAと県本部が「出向く活動」体制をつくり直接ニーズを把握するなかで、生産、販売、購買に関わる具体的な支援メニューの利用促進を図ろうというものだ。  そのために全36県本部に担い手対応部署を設置、担い手担当者も目標の150名を上回る161名配置されている。県本部の担い手対応部署は▽県下JA...

 JA全農は、担い手への対応強化や生産者・組合員の手取り最大化などを柱とした「新生プラン」を実践しているが、この2年間の総括に基づいて「担い手支援策」ではメニュー見直しなどを検討することにしている。
 JA全農の担い手支援対策は、全国基準と県域基準に基づいてリストアップした担い手に対してJAと県本部が「出向く活動」体制をつくり直接ニーズを把握するなかで、生産、販売、購買に関わる具体的な支援メニューの利用促進を図ろうというものだ。
 そのために全36県本部に担い手対応部署を設置、担い手担当者も目標の150名を上回る161名配置されている。県本部の担い手対応部署は県下JAの担い手対応体制づくりの支援、具体的な支援メニューの策定などに取り組んでいる。
 とくに各地域でリストアップした担い手を登録する「担い手対応支援システム」の導入をJAに働きかけることが重要な業務となっており、同システムの利用申請JAは昨年12月末で405JAとなった。登録された担い手は15万9000件で21年度末目標の15万件をすでに上回っている。
 同システムはJAの担い手担当者が出向く活動によって得た担い手の経営状況やJA事業への要望、担い手支援事業の活用状況などを担当者の日報、渉外活動報告として記録する機能を持つ。出向く活動実績や担い手支援状況の履歴となると同時に、書類による日報管理などから脱却し、専任部署でのデータ情報共有化による担い手への迅速な対応に活用することが期待されている。今後の担い手支援には不可欠なツールだとしてJA全農では継続的な導入拡大を今後の課題としている。
 また、県本部担い手対応部署では、JAの「出向く活動」の定着支援のため担い手への同行訪問なども行っているが、今後はJAと明確に機能分担し、たとえば生産法人への出向く活動については県本部の直接担当とするなどの検討も行う。すでに一部の県では、JAとの協議のうえ県本部が直接「出向く活動」を担当する担い手を明確化するといった取り組みも見られる。
 JA全農は担い手対策支援として19年度から23年度までの5年間で累計240億円の財源を確保し、うち120〜160億円を生産資材等の価格対策にあてることにしている。これまでに18年度は前倒し実施実績として7.2億円、19年度は17.5億円の実績見通しとなっている。今年度は目標にくらべ11.1億円低い。
 一方、生産資材手数料の引き下げの課題では2年間で44億円(16年度手数料290億円基準)の削減と成果を挙げている。
 ただし、JA全農では資材価格が高騰するなかでは、担い手支援のためのこうした価格対策を実行してもその事業効果や担い手からの評価が期待できないとして、とくに担い手がその実効性を確認できる支援策を打ち出す必要があると考え、手取りの確保につながる販売対策を軸にしたメニューに見直す方針だ。
 そのために子会社の“営業マン”による担い手へ出向く活動による契約栽培提案など商品企画提案も含め「全農グループ一体となった担い手支援」に力を入れていくことにしている。

(2008.03.07)