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中国からの輸出は「今後も減少と分析」

−流通システム経済センター

藤島廣二教授 馬増俊会長 食品の流通システムや鮮度保持の調査・研究をしている(株)流通システム経済センター(初谷誠一社長)は5月29日、東農大の藤島廣二教授や中国卸売市場の関係者らを招き中国食品の輸出や流通の現状などについてセミナーを開いた。 藤島教授は「中国野菜の輸入量減少は今年1月の冷凍ギョーザ事件に端を発したものではない。既に2005年をピークにして減少傾向にあった」と、安全性の問題で中国野菜の輸入が減少に転じたのではないと分析。「輸入量が急増したのは85年以降の円高で、輸入野菜の価格が国産品をはるかに下回り低価格になったから。05年を機に輸入品と国産品の価格差が縮まっており、今後もこ...

藤島廣二教授
藤島廣二教授
馬増俊会長
馬増俊会長

食品の流通システムや鮮度保持の調査・研究をしている(株)流通システム経済センター(初谷誠一社長)は5月29日、東農大の藤島廣二教授や中国卸売市場の関係者らを招き中国食品の輸出や流通の現状などについてセミナーを開いた。
藤島教授は「中国野菜の輸入量減少は今年1月の冷凍ギョーザ事件に端を発したものではない。既に2005年をピークにして減少傾向にあった」と、安全性の問題で中国野菜の輸入が減少に転じたのではないと分析。「輸入量が急増したのは85年以降の円高で、輸入野菜の価格が国産品をはるかに下回り低価格になったから。05年を機に輸入品と国産品の価格差が縮まっており、今後もこの傾向は進み輸入量が減少し国内生産が上昇するのではないか」と今後の見通しを述べた。
中国での輸出検査・検疫の現状や卸売市場の役割について話したのは、全国城市農貿中心連合会(CAWA)の馬増俊会長。
中国では07年10月1日に中国農産品食料安全法が施行され輸出検査が厳しくなったという。「検査をしているのは政府、仲介業者、輸出企業の3者。それぞれ国際基準を満たしたスピード検査と精密検査の2種類の検査をしている。輸出先国の状況に合わせて対応を変えているが、さらに欧州や日本、米国にも適用できるような農薬基準のスタンダード化、安全食料供給センターの設立、トレーサビリティーシステムの構築などを目指す」方向性だという。
さらに欧米では国際貿易の中で卸売市場がプラットフォームになっていると紹介し、「卸売市場は情報収集・伝達能力に長け、信頼性も高い。卸売市場が中心になることで貿易の安定性とリスクの軽減が目指せる」と、卸売市場の果たす役割は大きいと語った。
日中の農産物貿易について「日本は基準が厳しい上に度々修正するので、対応が間に合わず輸出を自粛している企業や産地がある」と現状を説明する一方、「日本の輸送技術やシステムは非常に発達していて、中国も手本とするべきだ。情報交換や競争をし合って、互いに発展していきたい」と希望を述べた。
同センターは中国の流通関連企業と提携し日中の食品輸出入事業の手助けをしており、今後もこのようなセミナーを開催していくという。

(2008.06.11)