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地震と洪水に強いため池の強化復旧技術を開発

−農研機構と3社

水が堰を越えて流れても堤体は大丈夫という地震と洪水に強い画期的なため池の強化復旧技術を開発したと(独)農研機構などが6月17日発表した。「越流許容型ため池工法」といい、昨年3月の能登半島地震で被災したため池の復旧にこの工法が採用され、今年5月に完工した。 修復は「原状復旧」が一般的だが、近年は大災害が多発するため原状よりもっと強い堤体にし直す新技術が求められていた。 新工法の特徴は、ふつうより10倍も大きい土嚢(のう)にテールとウイングと呼ぶシートを連結させ、その部分を堤体内に敷き込み、土嚢は石垣のように堤体内部に傾斜させて積み上げるというもの。 実験では震度7相当でも土嚢の積層構造は崩れず、...

水が堰を越えて流れても堤体は大丈夫という地震と洪水に強い画期的なため池の強化復旧技術を開発したと(独)農研機構などが6月17日発表した。「越流許容型ため池工法」といい、昨年3月の能登半島地震で被災したため池の復旧にこの工法が採用され、今年5月に完工した。
修復は「原状復旧」が一般的だが、近年は大災害が多発するため原状よりもっと強い堤体にし直す新技術が求められていた。
新工法の特徴は、ふつうより10倍も大きい土嚢(のう)にテールとウイングと呼ぶシートを連結させ、その部分を堤体内に敷き込み、土嚢は石垣のように堤体内部に傾斜させて積み上げるというもの。
実験では震度7相当でも土嚢の積層構造は崩れず、水平積みに比べて2倍の強さを発揮。また一時的な洪水には十分な耐浸食性を持って、貯水機能を失わないという結果を確認した。
農業用水や地域の生活に欠かせないため池の数は21万カ所にのぼり、その多くは100年以上前に建設された老朽ため池だ。平成16年度の台風や地震では340カ所以上が決壊、大きな損傷が約4600カ所もあった。
被災の形は水が堰を越えて流れる越流と、地震による堤体のすべりや沈下がほとんどだった。
新工法で使う土嚢材は世界各地の現地材料でつくることができ、軽くて運びやすいメリットがある。土嚢の中詰め材も、どこにでもある土だ。
このため開発途上国などでも普及しやすく、ため池や川の堤防などのほか地球温暖化による異常気象や海面上昇に対する防災技術としての活用も期待される。 能登半島地震で堤体斜面が崩壊した石川県志賀町の「平田ため池」は新工法で復旧したが、着工は07年10月、完工は08年5月。うち堤体の構築に要した期間は08年3月と4月の約2カ月間だった。
新工法は農研機構農村工学研究所と、三井化学産資(株)、東電設計(株)、(株)クボタ3社からなる新技術研究開発組合が共同開発した。

 

(2008.06.20)