農政・農協ニュース

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米粉を転作作物で推進

−民主党の米政策

◆地産地消で普及を図る  民主党は党内に設置している米価問題等検討小委員会の議論をふまえて6月18日、「当面の米の政策の基本方向」を発表した。  適正な米価形成と自給率の向上のため「転作作物としての米作振興」をうたい、とくに「米粉生産」を重視している。  米粉用の米生産は、米づくりの点では主食用と変わらないため生産者にとって取り組みやすく、既存の機械・設備の利用が可能なことや、慣れない麦・大豆転作より経営リスクが少ないことなどから、同党では麦・大豆への交付金水準よりも低い支援水準でも生産者に定着する可能性があるとしている。 ...

◆地産地消で普及を図る

 民主党は党内に設置している米価問題等検討小委員会の議論をふまえて6月18日、「当面の米の政策の基本方向」を発表した。
 適正な米価形成と自給率の向上のため「転作作物としての米作振興」をうたい、とくに「米粉生産」を重視している。
 米粉用の米生産は、米づくりの点では主食用と変わらないため生産者にとって取り組みやすく、既存の機械・設備の利用が可能なことや、慣れない麦・大豆転作より経営リスクが少ないことなどから、同党では麦・大豆への交付金水準よりも低い支援水準でも生産者に定着する可能性があるとしている。
 また、古米でも米粉では食味に影響がないことから「政府備蓄を棚上げ方式に転換」して活用するメリットもあるとする。
 一方、国際的な小麦価格の高騰で米粉との価格差が縮小していることや、製粉技術が発達し微粒米粉が製造できるようになったことから、民主党は輸入小麦の10%を米粉に置き換えることを当面の目標とした「Rice10プロジェクト」を国家プロジェクトとして推進すべきと提言した。輸入小麦500万トンの10%を米粉で代替すれば50万トンの米需要が生まれることになる。
 具体的には生産段階では、米粉用米生産を転作作物として位置づけ、需要に応じて生産面積を決める計画生産を図る。計画生産に参加した生産者には、主食用米との収益の差を補正する交付金を支払う。
 また、同プロジェクトを推進するにあたっては、米粉の製造・流通を地域の製粉工場が行うなど地産地消と農業の6次産業化の視点で実現すべきだとしている。そのために地域の製粉工場への設備・機械の導入支援など産地と実需者との連携促進の支援策を講じるべきとする。
 そのほか、飼料用米やホールクロップサイレージ(WCS)の振興も重視し、主食用米との収益差を補てんすべきとするが、同党の方針では主として生産コストの低い大規模農家を中心に生産拡大を図るべきだと提言しており、米粉生産を転作作物として重視すべきだとするのは「中山間地域であっても米粉生産なら取り組める」(平野達夫同検討委員会事務局長)と、主食用の全国的な需給調整も図りやすいという狙いがある。
 また、米粉や飼料用米による転作を推進する要となる助成制度は、現行の産地づくり交付金であるとして、21年度まで固定されている交付金総額を増額することや、転作面積の拡大にともなう総額スライド制の導入など実態に即した早急な見直しが必要だと強調している。

◆MA米、全量輸入は避けるべき

 同党はミニマムアクセス(MA)米の輸入についても方針を示した。
 それによると国際的な米価格の高騰が続いているなか、国内的には生産調整を続けるわが国がMA米の「輸入量枠全量を輸入し続けることは米の国際価格をさらに高騰させる要因となる」と指摘、国際価格が高騰している場合には輸入枠の全量輸入はさけるべきであると強調している。
 具体的には、入札予定価格の設定には時価を採用せず、過去の国際価格の趨勢をふまえた上限価格を設定し、「結果として不落札になる」ことを容認すべきだとしている。また、援助用米の取り扱いについても、MA米の輸出国から直接、援助米の受け入れ国に運ぶなどの新たなシステムについての検討を行うべきだと主張している。

(2008.06.23)