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28日にラミー事務局長案改訂版を提示

−WTO

 ジュネーブで行われているWTO(世界貿易機関)閣僚会合は28日にラミー事務局長が調停案改訂版を提示する予定となっており(日本時間28日深夜)緊迫感が高まっている。  閣僚会合は7月21日に始まったが農業、非農産品(NAMA)ともに各国の主張が対立したため、WTOのラミー事務局長は日本、米国、欧州、ブラジルなどによる少数国会合(G7)を呼びかけて議論してきた。  25日にはG7の後に開かれた30か国ほどが参加するグリーンルーム会合(GR)でラミー事務局長が主要事項についての調停案を示した。同案では日本の農業分野の最優先事項である「重要品目」の数について、基本が総タリフ...

 ジュネーブで行われているWTO(世界貿易機関)閣僚会合は28日にラミー事務局長が調停案改訂版を提示する予定となっており(日本時間28日深夜)緊迫感が高まっている。
 閣僚会合は7月21日に始まったが農業、非農産品(NAMA)ともに各国の主張が対立したため、WTOのラミー事務局長は日本、米国、欧州、ブラジルなどによる少数国会合(G7)を呼びかけて議論してきた。
 25日にはG7の後に開かれた30か国ほどが参加するグリーンルーム会合(GR)でラミー事務局長が主要事項についての調停案を示した。同案では日本の農業分野の最優先事項である「重要品目」の数について、基本が総タリフライン数の「4%」とされ、代償措置をともなう場合に2%の追加が可能とされた。重要品目数をめぐる日本の主張はこれまで10%確保だったが、若林農相はジュネーブ入り後、ぎりぎり8%は確保したいと表明していた。
 しかし、提示されたラミー事務局長案は追加分も含めて合計6%。この案について若林大臣は25日の現地の記者会見でG7で合意したものではないとし「今まで8%はどうしても必要と言っているがこれが受け入れられずに(調停案が)出た。非常に不満はあるが、8%確保を条件として合意に努力する」と強調していた。
 日本が農業を守るために重視する高関税品目は関税化品目ではない砂糖なども含めて169あるとされる。総関税化品目数(総タリフライン)は1332。関税削減幅を緩和できる重要品目数が6%なら約80になってしまう。また、8%でも約107にとどまる。重要品目数が極めて限定されれば多くの品目で大幅な関税削減を余儀なくされることになりかねない。
 27日にはブラジルと豪州と個別会談を行い「重要品目の意味、十分な数の必要性について話している。最後まで8%確保に向けて努力する」とわが国の主張反映に全力を上げていると話し、「見通しを持っているわけではないが、しかし、ダメだということではない。だから努力する」と記者会見で強調した。
 ただ、途上国向けのセーフガード(SSM)では、発動基準が途上国にとって厳しい水準となっていることや、新たな関税割当品目の設定不可の問題についても、これに反対の日本と同様、EUや米国、スイス、ノルウェーなどにとっても関心事項であるなど、ラミー事務局長案をめぐる対立点はある。
 28日に提示される見込みのラミー事務局長の調停案改訂版について、受け入れるかどうかとの問いに「何が出てくるか分からないから分からない。何とも云えない」と若林農相は話している。

(2008.07.28)