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55%超えた野菜の加工・業務用需要にどう応えるのか 園芸販売事業改革トップセミナー開催

−JA全中・全農

課題を提起する前嶋全中常務 JAグループは第24回JA全国大会で、消費者実需者のニーズを生産に結びつける販売事業改革に取り組み、生産者の所得向上とJAの収支改善を図ることにし、全国で直販事業の強化・拡大などに取り組んできている。そうしたなか野菜では加工・業務用需要が55%を占め、家庭消費を大きく上回っているが、こうした需要に応えることで国産農産物の多元的な販路を拡大することが重要な課題になっている。 JA全中と全農は、こうした加工・業務用需要に応えることで、より一層の国産農産物の需要拡大と園芸販売事業の改革を促進するために、8月1日に東京・大手町のJAビルで、JA組合長・営農経済担当役員や県...

課題を提起する前嶋全中常務
課題を提起する前嶋全中常務

JAグループは第24回JA全国大会で、消費者実需者のニーズを生産に結びつける販売事業改革に取り組み、生産者の所得向上とJAの収支改善を図ることにし、全国で直販事業の強化・拡大などに取り組んできている。そうしたなか野菜では加工・業務用需要が55%を占め、家庭消費を大きく上回っているが、こうした需要に応えることで国産農産物の多元的な販路を拡大することが重要な課題になっている。
JA全中と全農は、こうした加工・業務用需要に応えることで、より一層の国産農産物の需要拡大と園芸販売事業の改革を促進するために、8月1日に東京・大手町のJAビルで、JA組合長・営農経済担当役員や県域組織の役職員約200名を集め「園芸販売事業改革トップセミナー」を開催した。
セミナーではジュネーブから帰国したばかりの宮田勇JA全中会長が主催者として「自給率向上は最大の課題であり、実需者ニーズに応え各産地がその特性を活かしていくことが、地域農業発展」のためにも重要だと挨拶した。
来賓として挨拶した内藤邦男農水省生産局長も、今後は「生鮮野菜が家庭用需要で伸びていくことは難しい。加工・業務用需要に合わせて供給していかないといけない」と強調した。
セミナーは、農水省生産局園芸課の菱沼義久流通加工対策室長が情勢報告「加工・業務用需要の対応に向けて」を行い、前嶋恒夫全中常務理事が「JAグループ園芸販売事業改革の視点」と題して課題を提起した。
その後、中食関連企業である(株)ロック・フィールド執行役員の田中秀幸購買部長が同社の取り組みと「JAグループへの提言」を記念講演した。
実践報告として、JA全農いばらきとJAあいち経済連の加工・業務用の取り組み実態が報告され、秋田俊毅JA全農常務がこのセミナーの内容を「明日からの実践に活かして欲しい」としめくくった。

記念講演するロック・フィールドの田中氏
記念講演する
ロック・フィールドの田中氏

いずれの報告でも加工・業務用需要に応えることの重要性が強調されたが、ロック・フィールドの田中氏は市場流通(市場)と加工・業務用(加工)の違いを指摘した。「品質」については市場は「外観重視」だが加工は「鮮度・美味しさ」、「内容量」については市場は「個数」だが加工は「重量」、「荷姿」について市場は「段ボール」などだが加工は「バラ詰めやコンテナ」と異なることなどだ。価格についても市場は「変動」だが加工は「固定」(契約)であり、数量についても市場は変動するが加工は契約だから安定していることを上げた。
その上で今後の課題として産地リレーによる年間提案と商談による「年間安定購買」重量規格設定と包装の除去など「加工向け規格品の購買」生食か加熱かなど用途によって同じ野菜でも規格が異なるので、用途に適した品種や大きさの選定など「用途別出荷規格」をあげた。そしてこうしたことを実現できる「契約取引のトータルコーディネイト」をJAグループに期待するとした。

(2008.08.04)