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現場主義の浸透を期待

−若林前農相退任会見

1日午後の会見終了後、記者席から拍手が起きた。退任会見では実に久しぶりの光景だった。 松岡氏の急逝で急遽、農相臨時代理を務めたのが昨年5月28日から6月1日まで。その後の赤城氏辞任で8月1日から27日まで環境相との兼任大臣に。さらに安倍改造内閣の遠藤氏辞任を受けて9月4日に再びリリーフ。時の会見では大臣退任が続く状況を「異常な事態といっていい」と述べた。 そして福田内閣発足で留任、「(新内閣の)スターティングメンバーとしては初めて」(昨年の会見)登板し、今年8月1日まで333日間務めた。「通算すると365日でした」。 この1年間、「振り返ってみるといろいろなことがありました」。 指摘したのが...

若林前農相

1日午後の会見終了後、記者席から拍手が起きた。退任会見では実に久しぶりの光景だった。
松岡氏の急逝で急遽、農相臨時代理を務めたのが昨年5月28日から6月1日まで。その後の赤城氏辞任で8月1日から27日まで環境相との兼任大臣に。さらに安倍改造内閣の遠藤氏辞任を受けて9月4日に再びリリーフ。時の会見では大臣退任が続く状況を「異常な事態といっていい」と述べた。
そして福田内閣発足で留任、「(新内閣の)スターティングメンバーとしては初めて」(昨年の会見)登板し、今年8月1日まで333日間務めた。「通算すると365日でした」。
この1年間、「振り返ってみるといろいろなことがありました」。
指摘したのが「何といっても食料安保の問題」。国際的な穀物需給ひっ迫で「地球規模で重大課題として取り上げられるようになった」。しかし、昨年夏にはわが国の食料自給率は40%を切って39%に。「危機感がいっそう高まった」。
そのほか、地球温暖化対策としての森林整備問題、相次ぐ食品偽装、米政策と品目横断対策の見直し、原油、飼料・肥料価格の高騰対策と漁業対策など、次々にこの1年間の農政課題を挙げ「今後、どれもが基本的課題」と総括した。
最後の仕事が退任2日前まで現地にいたWTO交渉。交渉を通じて「大きな転換期にあるなと思う。今までの単なる延長線では難しい時代に入っている。とりわけ農業は体質強化を図り、世界の動向に対応できるような農業を作りあげていかなくてはいけない」。
その農業改革のために就任時に掲げたのが「ご用聞き農政」。会見では「現場が抱えている苦しみ、悩み、痛みをしっかりと認識して生産者と共有するところから政策を組み立てないと空回りすると思っていた」と改めて強調、それが省内に浸透したかどうかは「現場の皆さん方にお聞きしたい」と評価を避けたが、「やはり農林水産業のいちばんの原点は現場に即した対策をきめ細かく講じていくこと」と期待した。

(2008.08.06)