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JAのOBが引っ張る集落営農

−政策研の分析が示す

    JAや市町村、企業のOBが集落営農組織の立ち上げ、運営と地域農業再編に向けて活躍しているという分析結果を農林水産政策研究所が公表している。    全国69の集落営農組織を対象にしたこの分析では、JA、市町村などの「OB」が役員となり運営の中心を担っているのが34組織、「現役」が18組織もあり、合わせて7割を超えた。この数字に統計的な意味はないが、集落営農の運営に中心的な役割を果たしているのが農業経営に専念している人よりも、こうしたJAのOBらが多いという実態の一端を示したものとして「注目される」と報告してい...

    JAや市町村、企業のOBが集落営農組織の立ち上げ、運営と地域農業再編に向けて活躍しているという分析結果を農林水産政策研究所が公表している。
    全国69の集落営農組織を対象にしたこの分析では、JA、市町村などの「OB」が役員となり運営の中心を担っているのが34組織、「現役」が18組織もあり、合わせて7割を超えた。この数字に統計的な意味はないが、集落営農の運営に中心的な役割を果たしているのが農業経営に専念している人よりも、こうしたJAのOBらが多いという実態の一端を示したものとして「注目される」と報告している。
    また、この調査では対象組織の6割で「農用地利用改善団体」が設立済みか、設立予定などとなっており、集落営農が農地利用調整の面で大きな役割を果たしていることも示された。集落内農地の集積率は50%以上の組織が65%、90%以上が19%あった。
    これらの結果から、JAのOBなど、経理や行政知識、関係機関とのパイプを持っている「人材」が集落営農組織の運営を引っ張ると同時に、農地利用調整の面でも重要な役割を果たしている姿が浮き彫りなったとして、分析にあたったチームは「今後はこうした『人材』の発掘と組織化が有効」と指摘している。
    一方で、この調査では認定農業者30経営体についても分析しているが、農地利用集積では農用地利用改善団体のような機能を持たないことから、個別の取り組み努力に限界があり利用集積がなかなか進まないことや、農地分散が課題となっている例が多数見られたという。
    同時に集落営農への認定農業者の参加についても調査。このうち東北、関東、中四国の調査対象組織ではすべてで認定農業者が参加していたが、兼業農家の全員参加型組織が多いとされている北陸では非参加の組織が8割を占めた。
    この調査は「水田・畑作経営所得安定対策下における集落営農組織の設立等が地域農業、農地利用集積に与える影響に関する分析」。集落営農組織が地域農業にどう影響を与えるかを継続的に検証するための研究プロジェクトの一環として実施された。調査対象は水田・畑作経営所得安定対策の導入を機に新たに立ち上げられた組織を中心に選定された。
    集落営農組織の立ち上げによる具体的な効果として挙げた割合は農地の維持・保全、利用集積(6割)、若い担い手の確保(6割)、機械所有の合理化(8割)、新規部門の導入による高齢者の活用・経営の安定化(3割)などとなっており、とくに機械の共同利用の進展によるコストダウンが進んでいることが示された。
    調査対象のうち前身組織がなく農政転換に対応して新たに設立された組織(46組織)では、前身組織があった組織にくらべて効果があったとする回答項目は少ないものの、上記いずれかの効果はあったとする組織は8割あったことから、立ち上げまもない組織でも、「経営が順調に発展していけば効果の拡大がさらに期待される」としている。
    その経営の課題については、稲作を個別作業としている組織も多いことから「稲作部門ををどれだけ経営に取り込めるか」だと指摘している。分析は同政策研広報誌「農林水産政策研究所レビュー」最新号に掲載されている。

(2008.08.22)