農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

調理冷凍食品の原料原産地表示を8月25日から義務化 

−東京都

 東京都は、国内で製造され東京都内で消費者向けに販売される調理冷凍食品について原料原産地を表示することを義務づける制度を導入することにしていたが、8月25日告示し同日から施行された(アイスクリームや菓子類は除く)。ただし、平成21年5月31日までは経過措置期間とされる。  東京都は「輸入冷凍餃子を原因とする健康被害が発生し、調理冷凍食品に対する都民の不安が高まる中で、安心して商品を選択するために、原材料の原産地を知りたいとの声が大きくなって」いることや「日常生活において、広く利用されている調理冷凍食品に対する信頼が損なわれることは、都民の食生活にも大きな影響を与える」として、「都民...

 東京都は、国内で製造され東京都内で消費者向けに販売される調理冷凍食品について原料原産地を表示することを義務づける制度を導入することにしていたが、8月25日告示し同日から施行された(アイスクリームや菓子類は除く)。ただし、平成21年5月31日までは経過措置期間とされる。
 東京都は「輸入冷凍餃子を原因とする健康被害が発生し、調理冷凍食品に対する都民の不安が高まる中で、安心して商品を選択するために、原材料の原産地を知りたいとの声が大きくなって」いることや「日常生活において、広く利用されている調理冷凍食品に対する信頼が損なわれることは、都民の食生活にも大きな影響を与える」として、「都民が調理冷凍食品を購入するに当たり、安心して適正な選択ができるとともに、事業者が自ら製造、加工する食品の原材料を適切に把握するための手段として、国内で製造され、都内で消費者向けに販売される調理冷凍食品に対し、原料原産地表示を義務づける」ことにした。(都のリーフレット「調理冷凍食品の原料原産地表示について」より)。
 都のこの制度導入については、冷凍食品の安定的な供給のためにメーカーは、世界各国から原材料を調達し、季節ごとに最適な産地を組み合わせるなど、「複雑多岐な製造実態にそぐわない」、「全国流通商品だから、国レベルで慎重に検討すべき」などの意見があった。
 これに対して都は「食品の表示は、国の制度として整える必要があるが、現状では、とくに加工食品においては十分とはいえない状況にある」ので、「国に先駆けて」原料原産地表示を義務づけることにした。
 表示が求められる原材料の範囲は、「原材料の重量に占める割合が上位3位までのもので、かつ、重量に占める割合が5%以上のもの」。ただし、上位から4番目以下でも商品名にその名称が付されている(例えば、「エビピラフ」の「エビ」)ものは原産地名を表示しなければならない。
 国は今年3月18日に消費者へ原料原産地についてのの情報提供を行うよう「加工食品の原料原産地表示の推奨について」を出すとともに、農水省・厚労省などが「食品の表示に関する共同会議」を行いこうした問題への検討を深めており、来年3月までには一定の方向を出すことにしている。
 国内で生産されている冷凍食品は、日本冷凍食品協会によれば152万7000トン(平成19年)。一部の東京都以外でのみ販売されているものを別にすれば、これら冷凍食品全てが対象になる。冷凍食品の原料は季節ごとに変わるなど複雑多岐にわたっており、都が望むような形で表示されるのか疑問もあり、本格実施の来年6月1日まで注意深く見守る必要があるようだ。
 また、中国産冷凍ギョーザ事件以来、原産地表示を求める声があり、都はいち早くその声に応えたということだろうが、「原産地表示が安全性を担保するのか」という根本的な疑問はいぜんとして残る。「安全性を担保できる」表示とはどのようなものなのか、引き続き考えていく必要がある。

(2008.08.26)