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事故米不正規流通、生産調整努力あざむく行為、の意見も

−農水省食料・農業・農村審議会企画部会 (9/12)

 農水省の食料・農業・農村政策審議会企画部会(部会長:鈴木宣弘東京大学大学院教授)は9月12日第4回部会を開き、平成19年度食料自給率、WTO農業交渉、事故米穀の不正規流通問題などについて農水省側の報告を受けたあと意見交換した。  石田副大臣は挨拶で「食料自給率が1%上がって40%になったが、輸入が止まれば2人に1人しか食べていけない。だから質の安全、量の確保、担い手育成の3つがそろった食の安全保障が大切だ。皆さんの知恵を結集して日本農業の振興にとり組みたい」と話した。  三笠フーズによる事故米流通事件については次のような意見があった。  「国民に安心安全な...

 農水省の食料・農業・農村政策審議会企画部会(部会長:鈴木宣弘東京大学大学院教授)は9月12日第4回部会を開き、平成19年度食料自給率、WTO農業交渉、事故米穀の不正規流通問題などについて農水省側の報告を受けたあと意見交換した。
 石田副大臣は挨拶で「食料自給率が1%上がって40%になったが、輸入が止まれば2人に1人しか食べていけない。だから質の安全、量の確保、担い手育成の3つがそろった食の安全保障が大切だ。皆さんの知恵を結集して日本農業の振興にとり組みたい」と話した。
 三笠フーズによる事故米流通事件については次のような意見があった。
 「国民に安心安全なモノを届けるべきなのに、農水省が長年にわたり見抜けなかったことは残念だ。上向いている米の消費や、生産現場で生産調整をおこなっている努力をあざむく行為だ。工業用のり原料として売るにしては、あまりにも管理がずさんだ。96回検査して見抜けなかった農水省の責任は重大。行政と業者の癒着はなかったのか」。
 「農水省は力のない役所、とのイメージを持った。コントロールするのは難しいことではあろうが、無力さを感じる。再発防止策をとるというが、なぜ制度論が出てこないのか。業者のコンプライアンス造成を含め、巧妙な仕組みを作って欲しい」。
 「毎日食べているものが不安というのは不幸なことだ。なぜ事故米を輸入しなければならないのか。国内の事故米はどうしているのか。不安がどんどん広がる。性善説ではだめと思う。輸入検疫の体制は十分か」。

◆高度農業に人材育成支援を

 自給率向上などに関しては次のような発言があった。
 「第一次産業が長期的に低落傾向にあるのは事実。今後どうするのか、撤退か再構築か、それなりの具体策が必要だ」。
 「農水省はよくやっていると思う。自給率の上昇は1%だが、反転したことは良いことだ。国防も大切だが、1億2000万人を養う食料政策はもっと大切だ。学校給食に日本産の材料を使うことを強力にすすめてもらいたい」。
 「今の農業は機械化、IC活用、自己販売など高度化しており、農村にいるのはイノシシ、シカ、老人ばかりといういうことにならないよう、後継者・人材育成を支援して欲しい」。
 「バイオ・エネルギーではセルロース系の活用が注目されているが、開発に4〜5年かかるのでは遅い。世界中がしのぎを削っているのだから、短期、集中的に人と金を投じて着実に効果をあげて欲しい」。

(2008.09.18)