農政・農協ニュース

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施肥コスト抑制で原料価格高騰に立ち向かう 全国の代表が結集し決意固める

−JA全農

◆全県本部に施肥コスト抑制対策本部を設置 「施肥コスト抑制だけでなく、農産物の生産・流通も含めて考えていきたい」と話す成清専務     JA全農は海外肥料原料の価格高騰は構造的なものであり長期化するとの見通しから、肥料原料の安定確保に取り組むとともに、土壌診断にもとづいた施肥体系の見直しを行い、低成分肥料による施肥コスト抑制に取り組みことを決め、全国本部と各県本部に「施肥コスト抑制対策本部」を設置した。    そして、全国的に施肥コスト抑制に取り組む意思を統一するために、10月9日東京・大手町のJAビルで「施肥コス...

◆全県本部に施肥コスト抑制対策本部を設置

「施肥コスト抑制だけでなく、農産物の生産・流通も含めて考えていきたい」と話す成清専務
「施肥コスト抑制だけでなく、農産物の生産・流通も含めて考えていきたい」と話す成清専務

    JA全農は海外肥料原料の価格高騰は構造的なものであり長期化するとの見通しから、肥料原料の安定確保に取り組むとともに、土壌診断にもとづいた施肥体系の見直しを行い、低成分肥料による施肥コスト抑制に取り組みことを決め、全国本部と各県本部に「施肥コスト抑制対策本部」を設置した。
    そして、全国的に施肥コスト抑制に取り組む意思を統一するために、10月9日東京・大手町のJAビルで「施肥コスト抑制全国決起大会」を開催した。北海道から沖縄まで全国各都道府県から約400名が参加した。

「農業は原料価格高騰に立ち向かっていく」と宣言する成清専務
「農業は原料価格高騰に立ち向かっていく」と宣言する成清専務

    JAグループ施肥コスト抑制対策本部本部長である成清一臣JA全農代表理事専務は「肥料原料の価格は高止まりして長期化する。それにどう対応するのか。逃げるのか、それとも立ち向かうか。どちらかしかない。農業は立ち向かっていく」と力強くあいさつし、施肥コスト抑制と生産コストに応じた農産物の適正価格化に取り組む決意表明をした。
    また、山崎周二全農肥料農薬部長は、広域土壌診断センターを設置し、土壌診断にもとづいたマスタープランを地域ごとに作成。低成分銘柄を全国・地域で集約することでコストを抑制していくと語った。

◆土壌診断で施肥コスト抑制と品質向上を実現

道行く人々に「適正価格への理解」を呼びかけるJA職員と大会参加者
道行く人々に「適正価格への理解」を呼びかけるJA職員と大会参加者

    基調講演は、東農大応用生物科学部の後藤逸男教授が「土壌診断と家畜ふん堆肥で肥料高騰を乗り切ろう!」と題して行った。
    「JAのみなさん、土壌診断をしましょう!」と呼びかけ、「肥やしは施せば施すほど作物がたくさん獲れる」とか「黒ボク土(火山灰土壌)には、リン酸資材を必ず施す」など、土づくりには根拠のない迷信が多く、無駄で土壌に悪影響を及ぼすような施肥をやめることで、施肥コストは抑制できると説明した。
    「平成13年に日本全国から156点のハウス土壌を集めて分析したところ、リン酸も堆肥も施用超過がほとんどで、野菜土壌が「メタボ化」していた。適切な量を超えて施用すると病原菌の菌糸ののびが早くなり、根腐病や根こぶ病などの土壌病害が多発する」と、土壌の栄養過多とその弊害を指摘。「土壌診断をやることで、施肥コストが抑制され、作物の生育もよくなる」と語った。「今後はマルチ抽出法と自動分析装置を導入し、生産者や営農指導員の負担を軽減することで、さらなるコスト抑制も図れる」と述べた。

桜井仁(JAうつのみや営農経済部米麦課課長)
桜井仁
    JAうつのみや営農経済部
    米麦課課長

    実際に土壌診断体制を強化し施肥コスト抑制に取り組んでいる事例報告をしたのは、JAうつのみやとJAふくおか八女だ。両JAとも水稲の分野で土壌診断をすすめ、施肥コスト抑制と売れるコメづくりに役立てている。
    JAうつのみや営農経済部米麦課の桜井仁課長は「JAうつのみやは5年計画で管内の土壌マップを作っており、3年が過ぎた。土壌診断マップを活用して、それぞれの生産者が自所にあった施肥をして健全な土づくりができるようになった」と、その利点を発表した。「土壌診断の生産者負担は1生産者につき250円ほどだが、助成金などがあり結果的に生産者負担は0円になる」と経済的な支援もしている。

高井良明(JAふくおか八女農産部農畜産課係長)
高井良明
    JAふくおか八女農産部
    農畜産課係長

    JAふくおか八女農産部農畜産課の高井良明係長は、「九州で一等米比率が下がっていた。転作で大豆を作ったりしていたのが問題じゃないかという話しになり、土壌分析をやってみたら、リン酸過多という結果が出た」と、土壌診断開始の経緯を話した。「現在はJAふくおか八女環境(分析)センターを立ち上げ、4人の常勤職員がいる。毎年テーマを設けて栽培試験と分析をし、元肥の変更などに役立てている」と、その成果を話しつつ「元肥変更で何か問題が起きないかなどにも注意したい」と、総合的な分析の必要性を述べた。

◆持続可能な農業めざし4つの取り組みを進める

大会決議を読み上げる神出常務
大会決議を読み上げる
    神出常務

    そのほか、野菜ソムリエで雑穀エキスパートの王理恵さんが特別講演として、両親の闘病生活を見つめた経験にもとづいて食の大切さを話し、昼食の休憩時間を利用して、大会参加者全員がJAビルの前でサツマイモを配布しながら、「肥料コスト上昇の適正な価格転嫁にご理解をお願いします」などと訴える街宣活動を行った。
    大会の最後に、神出元一全農常務理事(対策本部副本部長)が、「持続可能な農業の実現と食糧自給率の向上を目指して」
    
    1.土壌診断にもとづき施肥体系の見直しに取り組もう
    2.低成分肥料による施肥コスト抑制を加速しよう
    3.生産コスト上昇の適正な農畜産物価格への反映を実現しよう
    4.安全・安心な国産農畜産物の消費拡大を促進しよう
    という大会宣言を提案し、満場一致で採択された。

(2008.10.17)