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MA米「輸入義務」で議論

−農水省の政策審議会

    汚染米(事故米穀)の大半がミニマムアクセス(MA)米だったことから、その輸入中止を求める世論が高まり、さらにMA米は義務的輸入ではないという認識も定着してきた。    11月20日に開いた農水省の食料・農業・農村政策審議会企画部会(部会長=鈴木宣弘東大・大学院教授)でも再三にわたって各委員からMA米をめぐる議論や要望が出た。    今でも「ミニマムアクセス」を「最低輸入義務」と訳するメディアがある。部会では、義務かどうかを確認したいとする質問に対し農水省側は「法的義務...

    汚染米(事故米穀)の大半がミニマムアクセス(MA)米だったことから、その輸入中止を求める世論が高まり、さらにMA米は義務的輸入ではないという認識も定着してきた。
    11月20日に開いた農水省の食料・農業・農村政策審議会企画部会(部会長=鈴木宣弘東大・大学院教授)でも再三にわたって各委員からMA米をめぐる議論や要望が出た。
    今でも「ミニマムアクセス」を「最低輸入義務」と訳するメディアがある。部会では、義務かどうかを確認したいとする質問に対し農水省側は「法的義務は別としてWTO協定に基づき『輸入機会の提供』をするという約束をしている」と説明するにとどまった。
    また「日本国内の主食用米に影響を与えないということで(MA米輸入を)やっている」とした。
    部会では松本広太委員(全国農業会議所専務)が「MA米は義務的輸入だというが、WTO協定をもっとよく検証して抜本的に見直すべきではないか」と提起した。

◆農水省は「数量」論

    これら委員の発言に対し農水省側は「MA米は国家貿易として政府が全量を輸入している。約束を破れば国際的な問題になる。しかし国家貿易であっても約束した全量を輸入していない国があるので、よく調べてみる」などと答えた。
    WTO交渉がモダリティー(保護削減の基準)について年内の大枠合意へ向けて動き出したため農水省は「食料輸入国の主張をさらに反映させるようにがんばる」といい、またMA米輸入量は、いったん枠を決めたら、それに達しないといけないのかどうかも考えてみるーーとした。
    MA米輸入量は年間約77万トン。制度が始まった平成7年から今年3月までの合計は865万トンに及ぶ。
    カナダなどは国家貿易を実施しながらも約束のアクセス数量を満たしていないが、日本は律儀に枠を守ろうとして汚染米問題を発生させたとする批判もある。
    一方、内閣府の有識者会議でも9月下旬の第2回会合で「世界的に食料不足の時にコメの輸入をしていていいのか」などの意見が続出している。一般に減反をしながら輸入を続けているという基本的な矛盾に対する憤まんは強い。

◆流通規制など検討

    この日の部会では、事故米穀の不正規流通問題について、コメ流通システムを見直し、生産から流通の履歴が消費者にわかるようにコメのトレーサビリティを確立し、またコメ関連商品に原料米の原産国表示を義務づけることを検討するなどの対応策を農水省から報告した。
    さらに悪質業者にコメを扱わせないようにする規制方法も検討し、新しい流通制度の骨格を11月中にまとめ、次期通常国会に法案を提出すると明らかにした。
    さらに自給率向上の国民運動について報告のあと、21年度の食料・農業・農村白書の作成について意見を交換した。

(2008.11.27)