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2年連続のマイナス成長を予測

−農林中金総研

 先進国・新興国を問わず猛烈に需要が減退、雇用の悪化も進行してそれがまた消費低迷につながる−−。世界経済はこうした「負の連鎖」が止まらない状況に陥っている、との認識のもとこのほど(株)農林中金総研は「08年〜10年度経済見通し」を公表した。  2月16日に政府が公表した08年10-12月期のGDP(国内総生産)成長率は年率換算で▲12.7%と1974年の第一次オイルショックに 次ぐ落ち込みとなった。  長期にわたって国内需要が低迷するなかで日本経済は高度成長を続ける中国をはじめとする近隣アジアや米国への輸出に依存して景気拡大をしてきたが、その輸出...

 先進国・新興国を問わず猛烈に需要が減退、雇用の悪化も進行してそれがまた消費低迷につながる−−。世界経済はこうした「負の連鎖」が止まらない状況に陥っている、との認識のもとこのほど(株)農林中金総研は「08年〜10年度経済見通し」を公表した。
 2月16日に政府が公表した08年10-12月期のGDP(国内総生産)成長率は年率換算で▲12.7%と1974年の第一次オイルショックに
次ぐ落ち込みとなった。
 長期にわたって国内需要が低迷するなかで日本経済は高度成長を続ける中国をはじめとする近隣アジアや米国への輸出に依存して景気拡大をしてきたが、その輸出依存度の高さが裏目に出て実体経済の落ち込みは、日本が最悪の状況となっている。
 実質輸出指数は08年1月のピーク時から27.7%減、鉱工業生産は同23.4%も低下。1929年の大恐慌時、米国の生産水準は3年間で半減したとされているが、今回、日本は1年間で4割も生産水準が縮小する深刻な事態となっている。
 ただ、「需要の瞬間蒸発」、「急降下」と言われる景気悪化も、このスピードは08年度下期までであり、その後は悪化の程度は緩やかになる、と今回の経済見通しでは予測。その後の見通しは、日本が外需依存経済である以上、震源地・米国のオバマ政権の経済・金融システム立て直し策に左右されると指摘した。
 その米国では総額7870億ドルの「米国復興・再投資法」が成立し、それらに基づく施策の効果で09年下期から10年にかけて米国はプラス成長に転じ10年には1.7%成長に回復すると予想した。日本経済はそれを後追いするかたちになるという。
 こうした前提で1-3月期については前期よりもマイナス幅は少なくなるが、年率換算で▲9.3%と二桁近くのマイナス成長を予測。08年度の実質GDP成長率は▲2.9%と7年ぶりにマイナス成長となることが見込まれるとした。前回(08年12月)予測からは2.1ポイントの下方修正となる。また、名目GDP成長率は▲3.2%と前回よりも1.3ポイント下方修正した。
 さらに09年度については、米国などの景気下支え策の効果が出始めることから、景気後退のテンポも緩やかになるとみるが、定額給付金も不安感の高まりから「呼び水効果」は期待できず、年度を通じては実質GDP成長率は▲4.6%と2年連続のマイナス成長が予測されるとしている。名目GDP成長率も▲5.2%の予測。
 10年度については、徐々に景気持ち直しの動きが強まっていき実質GDP成長率では0.4%と3年ぶりのプラス成長を予測。ただし、名目成長率は▲0.1%と初の3年連続のマイナス成長の見込みだという。

(2009.02.27)