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農商工連携のさらなる促進で合意 JA全中と全国中央会が協力確認

−農商工連携推進研究会報告会 (3/4)

連携事業促進にむけて協力しあうことを確認した茂木会長(右)と佐伯会長 JA全中と全国中小企業団体中央会(全国中央会)は昨年、地域活性化のために農商工連携を推進しようと「農商工連携推進研究会」を設置した。3月4日に都内で研究報告会を開き、両者はさらなる協力のもと農商工連携をいっそうすすめていくことで合意した。 茂木守JA全中会長は「業界の垣根をこえてお互いの経営資源を有効活用するのが、地域活性化の切り札になる。さらに農商工連携をすすめるためには継続が必要だ」と、今後も連携事業を推進していく考えを示した。 全国中央会の佐伯明雄会長は「農商工連携は食品産業などで古くからやってきたが、よりいっそうの...

連携事業促進にむけて協力しあうことを確認した茂木会長(右)と佐伯会長
連携事業促進にむけて協力しあうことを確認した茂木会長(右)と佐伯会長

JA全中と全国中小企業団体中央会(全国中央会)は昨年、地域活性化のために農商工連携を推進しようと「農商工連携推進研究会」を設置した。3月4日に都内で研究報告会を開き、両者はさらなる協力のもと農商工連携をいっそうすすめていくことで合意した。
茂木守JA全中会長は「業界の垣根をこえてお互いの経営資源を有効活用するのが、地域活性化の切り札になる。さらに農商工連携をすすめるためには継続が必要だ」と、今後も連携事業を推進していく考えを示した。
全国中央会の佐伯明雄会長は「農商工連携は食品産業などで古くからやってきたが、よりいっそうの支援が必要だ。1足す1が2でなく3になるような連携をしようとJAさんと合意したことで、さらなる発展を確信した」と、連携の広がりに期待を寄せた。
研究会報告のとりまとめでは、農商工連携の実現のためには▽中小企業と農林水産業者の地域特性の把握と情報交換▽夢・志・目的を共有できる場の確保▽連携推進のための学習機会の提供、の3点が重要だと分析。商工者と農林漁業者には文化・風習・言葉の違いがあるが、組合活動の基本理念である相互扶助の精神にのっとり、お互いを理解する気持ちがあればその壁は乗り越えられるとし、21年度も研究会を開いて各地域の活動状況や課題を検討し、さらなる連携促進を目指すと発表した。

◆農と商工の不信感克服が課題

報告会では研究会員2人が研究発表をした。明治大学政治経済学部教授の森下正氏は連携の理念と意義について、農業経営支援センター副会長、中小企業診断士、食と農研究所代表の加藤寛明氏は連携の課題について、それぞれ発表した。

森下正氏 明治大学教授
森下正氏
明治大学教授

連携事業で難しいのは、失敗した時よりも成功した時だ。お互いに利権の奪い合いなどが生じてしまうことがある。農商工連携の目的は互いの経営改善、所得向上、地域活性化なので、Win−Winの関係を作らなければいけない。中小企業も農林漁業者も経営基盤が脆弱で、また一般市民大多数の消費性向は安さ・手軽さ・見た目のよさなどで、農林水産物本来の実情とは大きく異なっている、などの課題を乗り越えていくためにも農商工連携は必要だ。情報力を強化して同じ志をもった業者が出会う場や、経験だけに頼らない体系的な学習機会を提供することなどで、成功の可能性は高まるだろう。

加藤寛明氏 食と農研究所代表
加藤寛明氏
食と農研究所代表

農商工連携の課題は中小業者と農林漁業者との意識の違いだ。連携開始時の課題についてアンケートを採ったら「考え方、価値観が違った」との答えが2割以上あった。相互不信をなくすには、中小企業者は生産者の実態を知ることなど、お互いの歩み寄りが必要だ。キムチ材料にハクサイ8トンを契約したのに天候不順などで6トンしか納入できなかったが、生産者がハクサイを背負って事務所にやってきて「来年もう1度がんばります」と言ってくれたので信頼関係が生まれた、という焼肉屋の例もある。役割分担、成果、リスクなどについて、連携開始の時点からしっかりと話し合うことが重要だ。

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(2009.03.05)