農政・農協ニュース

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子どもの食に地域全体で取組もう 20年度学校給食フォーラム

−JA全中 (3/7)

    栄養や健康、地産地消、食事マナー、農業への理解などさまざまな形で「食育」への期待が高まっているなか、学校給食の役割について考えようとJA全中は3月7日、「学校給食フォーラム〜子どもたちの豊かな未来を育むために〜」を開催。会場となった東農大には家族づれ、学校・給食関係者、生産者など約700人が集まった。    基調講演とパネルディスカッションでは、栄養バランスの崩れや朝食欠食などの問題、食品ロスや地産地消など食と環境・農業のつながりについて、学校、生産者、消費者からそれぞれ意見や先進事例の紹介をした。&nb...

20年度学校給食フォーラム

    栄養や健康、地産地消、食事マナー、農業への理解などさまざまな形で「食育」への期待が高まっているなか、学校給食の役割について考えようとJA全中は3月7日、「学校給食フォーラム〜子どもたちの豊かな未来を育むために〜」を開催。会場となった東農大には家族づれ、学校・給食関係者、生産者など約700人が集まった。
    基調講演とパネルディスカッションでは、栄養バランスの崩れや朝食欠食などの問題、食品ロスや地産地消など食と環境・農業のつながりについて、学校、生産者、消費者からそれぞれ意見や先進事例の紹介をした。
    主催したJA全中は「今日見たこと、聞いたことでいい話だったと思ったら、1つでもいいから地域に広めて、少しでもできることを実行してほしい」(よい食プロジェクト推進室・生部氏)と、参加者にお願いした。
    フォーラム終了後にはコメや旬の野菜を使った国産給食の試食会を開催。参加者は「来年、子どもが小学生になる。コストの問題もあるので国産にはこだわらないが、美味しくて安全なものを食べさせたいと願っている」(東京都・主婦)、「他県の進んだ取り組みを見て感心した。自分の学校でも実践できるようにしたい」(神奈川県・給食関係者)と感想を述べた。
    フォーラムの模様は、4月26日18時からNHK総合で放送する予定。

◆食の外部化が食文化を壊した

上岡美保氏 東農大准教授
上岡美保氏
東農大准教授

    基調講演を行ったのは、東農大国際食料情報学部の上岡美保准教授だ。
    食の問題については「実は洋風化は日本型の食文化を深め、栄養バランスも向上させた。栄養バランスを崩し、食生活を乱したのは食の外部化だ。食品産業が発展したことで家族の孤食化、食品ロスの増大、輸入増につながった」と分析した。
    また世界の年間総食料援助が約600万トンである一方、日本の食品ロスは年間1900万トンにも上り、年間輸入量5840万トンの約3分の1を食べずに廃棄している現状を紹介し、「輸入や廃棄を軽減することは、環境にもやさしい。地産地消のさらなる推進が必要だ」と述べた。

◆食育で『農の応援団』を育てたい

    パネルディスカッションのパネラーは、鳩ヶ谷市立小学校栄養教諭の田中広美さん、JA横浜飯田青壮年部の美濃口等さん、お米マイスターの西島豊造さん、スポーツコメンテーターの奥野史子さんの4人。
    子どもの食の現状について田中さんは「生活リズムを改善しないといけない。母親に伝えたいことがいっぱいある」、西島さんは「給食や家庭の食事の現場をみると、栄養バランスが偏った食事ばかりで、子どもがかわいそうになる」、奥野さんは「給食費未払いなどあるが、子どもにおいしいものを食べさせるのは親の責任。保護者が地域や学校に責任をなすりつけてはいけない」などと保護者に苦言を呈する一方、美濃口さんは「学校給食は昔に比べるとメニューが豊富で、地場産使用など食育にも力を入れている」と学校の取り組みを評価した。
    美濃口さんは、地元小学校でバケツ稲栽培や地場産キャベツの提供などを行っている。食農教育について「横浜でもキャベツやダイコンが育つというのを、子どもや保護者に知ってもらい、『農の応援団』になってもらいたい。地場産を食べることでホンモノの味を知ることができる」と述べた。
    西島さんは消費者の意識について「美味しさよりも流通の便利さが重視されているので、産地を知らない、産品を知らない消費者が増えている。地場産が美味しいということを知れば、東京もビルばかり作らずに田畑を作るようになる」と、産地と消費者との情報交換が必要だと述べた。

フォーラム終了後には、試食会やコメを使った商品の展示・即売会を行った
フォーラム終了後には、試食会やコメを使った商品の展示・即売会を行った

(2009.03.10)