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「生産基盤の維持・拡大支援などを最重点課題とする
21年度事業計画を決定

‐JA全農総代会 (3/25)

  JA全農は3月25日に臨時総代会を開催し「平成21年度事業計画」などを決定した。  事業計画では、高騰を続けていた原油・穀物価格は下落傾向にあるが、穀物価格については「新興国およびバイオ燃料による需要増加や世界的な干ばつなど異 常気象の影響」によって、「依然高値圏」にある。また、肥料原料についても、「食料生産に不可欠な有限資源として需要が高い」ことと「供給国が偏在」して いることから「価格の高止まりは、構造的・持続的なもの」と分析。  そうしたなかで、消費者の節約志向を反映した流通段階の価格競争などで「国産農畜産物価格は低迷」し「生産コスト上昇分の販売価格への...

  JA全農は3月25日に臨時総代会を開催し「平成21年度事業計画」などを決定した。
  事業計画では、高騰を続けていた原油・穀物価格は下落傾向にあるが、穀物価格については「新興国およびバイオ燃料による需要増加や世界的な干ばつなど異 常気象の影響」によって、「依然高値圏」にある。また、肥料原料についても、「食料生産に不可欠な有限資源として需要が高い」ことと「供給国が偏在」して いることから「価格の高止まりは、構造的・持続的なもの」と分析。
  そうしたなかで、消費者の節約志向を反映した流通段階の価格競争などで「国産農畜産物価格は低迷」し「生産コスト上昇分の販売価格への反映が進まない」 ため、「農家経営は厳しい状況が続いている」が、その反面で「より安全性の高い国産農畜産物を求める」消費者の傾向が高まっているので、消費者の期待に応 え、なおかつ「生産者手取りの安定化を実現する」ためには、「国産農畜産物の適正な価格形成に向けた理解促進・消費拡大の取組みがますます重要」となって いるとしている。
また、国の食料供給力強化や自給率向上をめざした農地政策の見直しなどの政策転換に対応して、JAグループが「国内農業の体質強化に向けて、水田・畑作 の地域実態に応じた有効活用や畜種別の生産基盤の維持・拡大などの取り組みを強化していくことが重要」だとしている。
  こうした情勢を踏まえて21年度は「JA・県連との連携を一層密にし、農業構造の転換に対応した中長期的視点に立った取り組みを強化していく」。とりわ け「経済事業連」として▽生産基盤の維持・拡大支援、▽生産コスト低減対策、▽消費者・流通業界への理解促進・消費拡大に資する広報活動の強化、を最重点 課題と位置づけ「持続可能な農業経営の実現と組合員・JA・消費者の期待に応える事業対応をめざし」ていくとした。
  また、21年度は「新生プラン」の5つの使命(担い手への対応強化、生産者・組合員の手取りの最大化、安全・新鮮な国産農畜産物の提供など)を骨子とした「3か年計画」の最終年度でもあり、この計画達成に向けた取り組みを進めていくことになる。

◆TACの活動が重点

  最重点課題である「生産基盤の維持・拡大支援」については、耕種部門ではTAC(地域農業の担い手に出向くJA担当者)の活動を通じて、担い手とJAグループ双方の事業強化をはかっていく。
あわせて米穀・園芸などの販売事業では、「実需と結びついた生産・集荷・販売、新規需要米(飼料米・米粉原料米)の取扱強化」「加工・業務向け青果物の契約栽培」など、「生産・流通・販売までの一貫した事業提案を拡大し、実需者への対応を強化」する。
  畜産部門では、農家段階での生産性向上に向け「機能性飼料・有利原料を活用した低コスト飼料の普及・拡大」などの支援策を強化する。あわせて「畜産基幹 産地登録制度」の拡充やET生産・供給体制の増強をはかり、和牛繁殖・養豚生産基盤の造成を促進する。また、生産・研究部門、県本部・子会社が連携した商 品開発など、「全農グループとしての相乗効果を発揮し、付加価値販売の拡大」に取り組んでいく。
  「生産コスト低減対策」「国産農畜産物の適正な価格形成や消費拡大に向けた広報活動の強化」については、基本的にはすでに20年度までに具体的に実施されている施策を21年度も継続して実施する内容となっている。
  品目別の事業計画では、とくに米穀事業では、飼料用米や米粉原料米など「新規需要米」について、まだ未成熟分野であり、実需と結びついた「生産・流通・販売までの一貫した事業の構築」が大きな課題となっている。
  園芸農産事業では、「加工・業務向け販売の強化」が大きな課題といえる。また全農直販施設の拡充や県域間および県域・JA全農青果センター間の連携強化による「直販事業の拡大」などが重点課題だ。
  畜産事業では、前にあげた生産拡大支援や全農グループとしての「相乗効果の発揮」のほか、「生乳需要の拡大や液状乳製品の販売拡大、需給調整による総合乳価(生産者手取り)の維持・向上」も重点課題として取り組まれていく。
  こうした取り組みによる21年度の総取扱高は5兆1518億円。収支計画は、新生プランにもとづく、担い手対応強化50億円、生産資材の手数料引き下げ 36億円を引き続き実施するとともに、事務集中センターシステムの減価償却29億円を計上することで、事業総利益は20年度計画よりもやや減少するが、要 員削減による人件費を中心とする事業管理費を約25億円削減し、当期利益は20年度計画と同額の20億円となっている。また、出資配当も2%の計画となっ ている。

(2009.03.26)