農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

改正農地法・農工商連携で農業復権  JA-IT研究会

 JA-IT研究会は7月17日〜18日、第25回公開研究会を開いた。今回のテーマは改正農地法と農商工連携。

今村奈良臣代表 初日は「農地法改正を地域農業の維持と発展にどう活かすか」、2日めは「農工商連携をどうすすめるか」。注目のテーマだけに、全国から100人以上が集まった。
 研究会の今村奈良臣代表は農地法について「農地の所有は有効利用の義務を伴う。今回大改正となったが、JAが主体的にどう対応して新しい地域農業の再生につなげていくかが課題だ」とし、農工商連携については「農工商ではなく商工農連携になっている。商工業に埋め込まれるおそれを感じているので、新しい方向を見出していきたい」と述べた。

◆「これからの農業は“脳業”だ」

 初日は、JA全中担い手・農地総合対策部担い手・農地総合対策室の木村政男室長が、「担い手・農地対策対策の今後の進め方」について報告。
 「地域の担い手への面的集積を優先的に考える。新規就農者へは関係団体と連携し、募集、研修、就農支援、営農・経営支援と段階を踏んだ支援を強化し、組合員化までつなげたい」と、JAグループとしての取り組み方針を述べた。
 「農地の有効利用と人材の育成・活用」をテーマに発表したのは埼玉県の農業生産法人ナガホリの永堀吉彦代表取締役だ。
 「生産規模を拡大したいが、農地の借用と人材確保が課題だった。14年前から無料で耕作放棄地の復元を引き受けてその後農地を借りるという方式で規模を拡大し、年齢制限なくシフトも作らず能率給で雇用するという形で人材を確保した。
 これからの農業は、考えなければできない“脳業”だ。非農家でもロマンとやる気のある人を雇う」。

◆「経済活動より人間活動が大事」

100人以上が集まり大盛況だった 農商工連携については愛知県で、JAあいち中央、小麦・大豆の実需者、などと連携して「地域農業の応援団 一粒の会」を設立した、おとうふ工房いしかわの石川伸代表取締役が「6次産業化に必要なヒューマンネットワーク」をテーマに、連携の経緯や活動、地域のネットワーク化などを紹介した。
 「経済連と入札業者による契約が主で、生産者と消費者や実需者との間に顔の見える関係ができてなかった。また、転作奨励で大豆の生産量が増加傾向にあったことから04年5月、地元の農家を応援し農業を復権しよう、と生産者、実需者、消費者が一体となって地産地消や食育を考える一粒の会を立ち上げた。
 工場見学、豆腐づくり体験などの産地交流会、食育のボランティア活動、田んぼアートの企画など、農業を通した地域の活性化や人と人との結びつきなどをめざしている」。

(2009.07.22)