農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

全JAで農地利用集積事業を  JAグループの担い手・農地対策決める

 JA全中は7月9日の理事会で農地制度改革に対応したJAグループの担い手・農地対策の取組方針を決めた。平成22年度に創設される「農地利用集積円滑化事業」に原則として全JAで取り組むことにした。

◆3年間を重点期間

 農地利用集積円滑化事業は、農業経営基盤強化促進法の改正で創設される。
 全国の市町村で地域内の農地を一括して引き受けてまとまった形で担い手に再配分する仕組み。実施主体は「農地利用集積円滑化団体」で農地所有者から農地の貸し付けについて代理権を付与される。同団体は市町村、市町村公社、JA、土地改良区、地域担い手育成総合支援協議会などが対象となる。
 JAグループの取組方針では、今後12月までに各地域で農地利用集積円滑化団体をどの団体が行うのか協議や調整を行うことにしている。
 地域の多様性を考えれば、必ずしもJAが同団体になるわけではないと見られるが、農地利用集積円滑化事業には、その一員として原則全JAで取り組むことを基本とした。
 各地域・JAで事業体制を決めたうえ、22年3?6月の総代会で事業実施に関する定款や諸規程の変更などを行う予定だ。
 ただ、すでに農地保有合理化事業に取り組んでいるJAは、農地集積加速化事業を利用して今年度から前倒しで取り組む。この事業は21年度補正予算で総額2900億円で新設された事業。農地の出し手への交付金(最高10aあたり1.5万円/年)が目玉だ。

◆地域合意が不可欠

 利用集積面積の目標は各地域で年度ごとに決める。
 また、JAは農家組合員に対して訪問調査などを実施して将来の営農意向を把握、担い手と農地の確保目標を明確にする「農地利用長期ビジョン」を策定する。
 営農意向調査やビジョン策定の手引きを全中は9月までにまとめることにしている。
 また、農地利用を担い手に優先して集積するためには、地域合意が欠かせないことから、集落を単位として組合員で構成する農用地利用改善団体を組織するなど、話し合い・合意形成の場づくりをはかる。
 一方で農地の出し手対策も重要になる。
 組合員が貸し出した農地については賃借料の受入・支払いのほか、相続税対策なども通じて生活設計や生活支援に力を入れる。また、JA事業の利用は引き続き継続してもらい組合員資格を持ち続けるような働きかけも行う。さらに農地のすべてに利用権設定をした組合員への対応が必要なことから、正組合員資格設定の考え方について検討する。
 そのほかJAの農業経営についても地域合意や、経営などの考え方についてまとめ第25回大会で原則(4原則)を決める方針だ。

(2009.07.28)