農政・農協ニュース

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農地・担い手・技術で目標設定 自給率目標の議論

 農政改革特命チーム会合では自給率目標の設定も議論の焦点だ。農水省は農地・人・技術に着目した自給力目標も設定すべきとの考え方を示した。

◆自給率の問題点

 農水省が示した「食料自給率目標の課題と検討方向」では、食料自給率の課題として▽生産、消費の双方の動向で数値が変動する、▽カロリーベースでの表示を基本としていることから畜産、野菜の貢献度が低く報告される、▽農業生産の構成要素である農地・人・技術との関係が不明確であり、農業政策の目標として不十分、との3点を論点として挙げた。
 とくに数値の変動は▽国内消費仕向量そのものの縮小(市場規模の縮小)でも自給率は向上する、▽輸入が途絶したために自給率が上がったりするような国民経済や国内農業の発展とならない場合がある、といった問題があると指摘している。
 また、不測の事態が起きたときには食生活も大きく変わると予想されるが、これを見込んだ数値にはなっていない。

◆生産額も併用

 現行の基本計画では生産額ベースの自給率目標も示されている。 これは国内の農業生産活動をより適切に反映できるとの考えからだ。野菜はカロリー自給率には6%しか貢献していないが、生産額ベースでは21%となる。逆に米はカロリーベースでは56%の貢献度だが、生産額では20%に落ちる。
 この指標は価格変動によって変化しやすいため農業生産力を適切に表しているかという問題もあるが、農水省は従来よりも生産額ベースの目標を普及し、カロリーベース自給率と「併用していくことが必要」としている。
 また、現行の「生産努力目標」では技術面の課題は示しているが、農地や人に関する課題は整理されていない。 このため農水省は、現在の農地利用、農業者の状況、単収などに着目して、将来の農業生産の姿の予測や、過去との比較も行い、これらに関する努力目標を設定することが必要だと指摘。今後、農業の生産要素に着目した「農業生産力指標」を検討する考えも示している。

(2009.07.28)