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田畑価格の下落続く 買い手のつかない割合高くなる 不動産研究所調べ

 田の価格は90万2781円で前年に比べ3・3%、畑は52万606円で3・2%それぞれ下落したと(財)日本不動産研究所研究部が9月10日発表した。全国平均の普通品等実測10a当たりの価格(平成21年3月末現在)である。

 田は平成4年の約119万2792円をピークに5年以降17年連続、また畑は4年以降18年連続の下落となった。
 小作料は田が1万2032円で6%強、畑が5978円で5%弱低下した。 田は20年産の米価回復で東北や北陸などの稲作地帯では価格保ち合い気配の市町村が多かったが、山間部などの条件不利地域では集積が難しく買い手がほとんどいない状況。
 畑は資材費の高騰もあって収益性が低迷している産地が多く、また水田転作で麦、大豆、飼料や野菜が作られることから畑利用が減少。耕作放棄の多発もあって、引き続き下落傾向にある。
 田価格下落の理由をみると、「米価下落」が3割強。次いで「後継者の減少」「買い手がいない」の順。とくに東北では米価下落を理由とする割合が高くて46%強。
 畑価格の場合は「後継者の減少」が25%強でトップ。次いで「買い手がいない」「高齢化」の順。大規模な畑作が行われている北海道でも「後継者減少」がトップ。
 なお田畑ともに前年に比べて「買い手がいない」の割合が高まった。
 田の小作料は稲作経営の収益性が低下したことと、標準小作料を減額改定した市町村が多かったことから下落した。規範性が低下したため標準小作料の設定を取りやめる市町村も出ている。
 畑小作料は栽培作物によって収益性の差異が大きく、比較的高いケースもある反面、耕作条件によっては借り手がなく、耕作放棄が多発しており、賃貸借・使用貸借ともに減少している。
 この調査は都道府県で農地事情を最もよく反映するとみられる市町村約1500を選定して行われた。「山林素地及び山元立木価格調」の結果も同時に発表された。

(2009.09.11)