農政・農協ニュース

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現場の実践事例を学ぶ JA全国大会の分科会 10月7日 パシフィコ横浜

 JA全国大会初日の10月7日午後からは分科会・セミナーなどが開催された。各地の営農、暮らし、JA改革など多彩なプログラムに参加者は自らのJA・地域づくりに活かそうと熱心に参加していた。

【分科会】

◇農地改革

全青協 矢木龍一参与 「平成の農地改革をふまえたJAグループの取り組み」をテーマにした分科会では、全青協の矢木龍一参与がJAが農地利用集積に関わる必要性について報告した。
 専業農家として就農時は7haだったが現在は70ha。利用権設定面積のすべてをJAと町(入善町)が出資して設立した農業公社からの委託で実現した。
 JAや公社が農地利用調整に関わることで、契約行為などが不要になり農業経営に専念できることや、JAの地域農業振興計画のなかに担い手の経営ビジョンが位置づけられるなどのメリットがあると指摘。ばらばらだった受託エリアを担い手同士で交換し集積することもできた。
 とくに集落の和を保ちながら規模拡大するための「トラブルのない拡大」はJAの力が欠かせないという。
「管内農業について大きなビジョンを描きながら農地調整をするのはJAの総合力が大切」と強調した。

(写真)全青協 矢木龍一参与


◇農商工連携セミナー

試食でにぎわう会場 農商工連携セミナーでは2JA(JAあしきた、JA氷見市)、おおやま夢ファームシュシュ、(株)ディメールと4件の事例発表があり、会場ロビーでも商品の紹介や試食を行った。
 JA氷見市は、山間地での転作作物として20年以上前から作られていたハトムギを使い、地元富山県の飲料メーカーと連携して2006年にペットボトル飲料「氷見はとむぎ茶」を発売した。当初の年間販売本数は13万4000本だったが、08年には150万本へと急成長し、ハトムギの作付け面積・収穫量ともに急拡大している。
 同JAの川上修組合長は「地域活性化は農業、行政、商工、観光、漁業などすべてが連携した『オールひみ』でなければできない」と、業種をこえた地域全体の連携を訴えた。


◇JA食農教育推進セミナー

 JA全中が主催したJA食農教育推進セミナーではJAはだの、JAながさき西海、JAいわて花巻の3JAが取り組む学校農園やグリーン・ツーリズムなどの紹介と、都市と農村の交流についての講演があった。
 JA全中では食農教育のさらなる強化をめざして2010年3月に「JA都市農村交流全国協議会」を立ち上げる。会の目的は、都市部のJAと地方JAとの情報交換や連絡を密にすることだ。
 JA全中では毎年全国のJAを対象にくらしの活動調査をしている。今年の調査結果では、グリーンツーリズムの受け入れが174JAある一方、子どもの長期宿泊を受け入れているのはわずかに25JAしかない。JA全中くらしの活動推進部の小池哲二次長は「さらなる発展のためには、受け入れ側の地方JAと主な出して側である都市JAとが、お互いの教育方針やニーズを理解することが必要だ」と、協議会の紹介と協力を呼びかけた。


◇健康・介護

 タレント 山口美江さんタレントの山口美江さんがアルツハイマー型痴呆症の父親を介護した体験を話した。
 痴呆症と診断されたとき医師から「あなたの知らないお父さんになるかも。心の覚悟を」と告げられたが、在宅介護を決意。
 症状が進行すると、日常生活での失敗が増えショックを受ける場面も多くなったが山口さんは「糺す必要はない。喧嘩する必要もない。何でも肯定し笑顔でいればいいんだ」と悟る。
 貿易商として活躍していたビジネスマンとして徘徊が始まると山口さんが地域の人々の痴呆症であることを知らせた。「地域で見守ってもらい防波堤になってくれました」と決して自分で抱えこまないことの大切さを強調した。
 重症になってからは施設に入所させた。そこで見たのは介護のプロの姿。父親も入所者どうしでサークルを作るなど「第2の人生を謳歌。すごくいい状態で時を重ねている」と、この病への理解が進んだという。
 ただ、人手・施設不足、高い介護費用や他病院との連携のなさなど「この国はどうなるのか」という思いも語った。
 施設を見舞った帰り。「来てくれてありがとう」と父。これが最後の言葉になった。山口さんは大変な日々だったが「充実していました」と話した。

(写真)介護体験を話した山口美江さん

 

◇JA総研

今村奈良臣所長による講演 JA総研は「農業・農村の課題とJAの役割を探る」をテーマに2つの講演を行い、予定を大きく上回るたくさんの人が来場し、立ち見がでるほどの盛況だった。
 今村奈良臣所長は「JAは今こそイノベーションの推進を」と題し、「農業ほど人材を必要とする産業はない。JAはイノベーション(自己改革)をして自ら変わっていかなくてはいけない」と述べ、「21世紀日本農業を花形産業にしよう」と呼びかけた。
 山本雅之理事はファーマーズ・マーケット(FM)の研究発表で「現在のFMは全国1万4000カ所で売り上げは5000億円。JA直営の大型店舗を増やして5年後には1兆円産業に成長させるような長期戦略が必要だ。体験農園やFMなど消費者の目に見える貢献で、農業とJAを再生しよう」と述べた。

(写真)今村奈良臣所長による講演

 


◇農林中金総研

農林漁業者による地域活性化・資源活用について発表する渡部喜智さん 農中総研は全国の9JAと協力して行ったアンケート結果をもとにした「組合員・地域住民が考えるJAの現在と将来」のほか「欧州の協同組合銀行の活動」、「変貌する世界の穀物市場」、「農林漁業者による地域活性化・資源活用」の事例報告など、多彩な研究発表を行った。
 地域活性化では、高知県のJA馬路村が独自開発したユズ飲料「スーパーごっくん馬路村」を配って、その取り組みを紹介した。管内面積の96%が森林だが、林業の衰退を受けて地場産ユズを使った加工品を開発。今では全国に向けて販売し、売上高は30億円以上だ。就農者だけでなく、加工施設やコールセンター「ゆずの森」なども設置し、地域の雇用創出にも貢献している。
 発表した渡部喜智さんは「活性化の人材を育てるのは時間とコストがかかる。行政と組んだ先進地留学や先進地によるコンサルタントなども一つの方法だ」と提案した。

(写真)
農林漁業者による地域活性化・資源活用について発表する渡部喜智さん

 


【セミナー・展示会】

◇農林中央金庫

Jabank.jpg JAバングアグリサポート事業や社会貢献活動についてのパネル展示があった。
 パネルを見て答えるクイズはすべて正解すると「ちょきんぎょグッズ」がもらえるとあり多くの人が参加した。中には「JAバンクが子ども向けの教材を作って配っているなんて知らなかった」と改めて感心する人も。
 農林中金が後援する全日本大学駅伝の応援フラッグもあり、「がんばれ!」などと多くのメッセージが書き込まれていた。

(写真)大学駅伝への応援メッセージを書き込む来場者

 



◇JA共済の社会貢献活動

指示通りの仕事に会場から歓声があがった JA共済は社会貢献活動への取り組みを伝える展示・イベントを行った。
 介助犬の育成と普及をサポートしている活動から「ガンバレ!介助犬!JA共済はたらくワンワンランド!」と題したイベントを開催。会場には実際に活躍する介助犬が登場し、インストラクターによる計3回のデモンストレーションが披露された。
 靴を脱がせたり、冷蔵庫のものを持ってきたり、携帯電話を探したりと、インストラクターの英単語による指示を的確に判断し、生活の手助けを行う姿を見せてくれ、会場から感心の声があがっていた。
 また会場内には「介助犬シンシア」のパネル展示などもあり、使用者とのきずなを伝えるブースとなった。

(写真)指示通りの仕事に会場から歓声があがった

 


◇農協観光

農協観光の活動紹介 食農教育の一環であるJA子ども交流プロジェクトの取り組み、今冬12月に仙台、3月に福岡で行われるNツアー20周年記念事業、来年1月24日にJA女性大会と併催される農家のお母さんお弁当コンテストなどがパネル展示された。
 昨年10月に発売した「地産地消・持参地消 こだわりの宿」は、全国の173施設が実施し、今年のツアー・オブ・ザ・イヤー国内旅行部門でグランプリを受賞した。今年も第2弾として規模を拡大して発売している。


◇全厚連

 JA全厚連は生活習慣を見直そうと、「いきいき健康応援!!からだ元気コーナー」を設置し血圧測定、体脂肪測定などを実施し多くの人が参加した。
 健康促進をテーマにしてビデオ上映のほか、「砂糖の摂り過ぎに気をつけよう」などと呼びかけるパネル展示もあった。



◇ASEAN各国の工芸品を展示

アセアン各国の工芸品がずらり JAグループの国際協力活動を伝えるブースとしてアセアン各国の工芸品の展示・販売などを行う「ASEAN農村ふれあいプラザ」が登場した。JAグループはアセアン諸国の農業者所得向上などに貢献するためにさまざまな活動に取り組んでいる。
 当日は常設の東京国際フォーラムごはんミュージアム内からの移動出展となった。
 カンボジア、インドネシア、タイなどから木のおもちゃや竹製のかご、織物などの品々が展示されエキゾチックな空間に包まれた。


◇国際協力ワークショップ

フィリピン、タイ、ベトナムなどとの交流を紹介 JAと国際協力・国際交流をテーマにしたワークショップは、さまざまな国の協同組合活動やJAとの交流などを紹介を展示した。
 JAあいち知多、JAはだの、JA東びわこ、JA八戸、JA北海道女性協議会や、タイ、フィリピン、べトナムからの参加者がそれぞれの交流を発表したほか、佐久総合病院の井浦喜丈医師がアジアの農村医療と生活改善への協力について発表。
 セミナー会場では同時通訳ヘッドセットを配布し、多くの人が討論に参加していた。

(写真)
フィリピン、タイ、ベトナムなどとの交流を紹介

(2009.10.15)