農政・農協ニュース

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新たな市場の創出をめざして 直売所の交流会を開催

 農業振興・地域活性化のためのコンサルティングを行う(株)流通研究所は、全国の直売施設が新たな市場を創るための交流会を11月7日、都内で開いた。

講演を行った山本謙治氏 交流会には直売施設やスーパー、商店街などの関係者180人が参加した。
 この交流会は、今や全国に1万3000店もあるという直売所が、地方と都市部で直面している問題について情報交換し連携方策を検討することで、新たな市場の創出をめざそうというもの。
 開会のあいさつで同研究所の釼持雅幸氏は「直売所は第2のステージに立っている。今後の課題は価格勝負ではなく農家の思いを消費者に伝えることと生産者の所得を向上させること。それがこれからの直売所の使命。すでに勝ち組と負け組が明らかになっているのはここの違いだと思います」と話した。
 交流会では(株)グッドテーブルズ社長の山本謙治氏が「直売活動への国民の期待と将来展望」と題して基調講演を行った。講演の中で山本氏は「日本の食は安すぎる。“安いものほど世のため”という考えが根づいている」と訴え、「食の問題は価格の安さが原因。これからは等価交換の『取引』ではなく『取組』による仕入れ、相手をたたかない『エシカル・ソーシング』の仕入れに変えていくべき」と話した。また「これからの直売所は他地域からも集客できるよう郷土色を打ち出していくこと、“スーパーより安い”という安価だけでの訴求ではないお得感を打ち出していくことが必要」と述べた。
 その後行われたパネルディスカッションには、道の駅「枇杷倶楽部」の立上げなどに携わった南房総市企画部長の加藤文男氏、地方と都市部の両方で直売所を展開するファームドゥ(株)社長の岩井雅之氏、池袋本町商店街で空き店舗を利用した直売事業を行う奈良芳樹氏をパネラーに迎え、大都市での直売活動を活性化するための方策を話し合った。
 「タウンインの直売店に期待する」「行政からの支援など連携がうまくいけば都市部での出店の可能性も高い」「農家も産地も都市部の需要もある。あとは誰がやるかという問題だけ」などの意見があった。
 また同日と前日の2日間、東京の丸の内オアゾでは全国から10カ所の直売所が農産物の即売を行い、62カ所の直売所が展示を行ってそれぞれの魅力をPRした。

(写真)講演を行った山本謙治氏

(2009.11.12)