農政・農協ニュース

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09年度はマイナス2.7%成長 農中総研経済見通し

 農林中金総研は11月19日に09年から11年度の経済見通しを発表した。農中総研は四半期ごとに経済見通しを示しているが足かけ3年にわたる予測公表ははじめて。

 本紙10月30日号(「経済ウォッチング」)でも解説したが、昨秋のリーマンショック以降の急激な景気後退は今年3月で底入れ、国内景気の回復は始まっている。
 ただし、回復したといってもピーク時の8割前後にとどまり、大幅な需給ギャップが存在するため、今後の企業の設備投資意欲や雇用回復には不安が残る。
 需要の回復が遅れれば過剰な生産能力を削減する圧力も出て、賃金上昇も期待できず、消費の冷え込みから結果としてさらにデフレが続くことも懸念される。
 農中総研は年度末にかけては所得減による支出抑制の動きとエコ減税などの政策効果も薄れ、09年度の実質GDP(国内総生産)成長率は▲2.7%と予測。名目GDP成長率も▲
3.7%とした。それでも前回予測(9月)より実質GDPは0.7%上方修正したが、2年連続のマイナス成長予測は変わらない。
 10年度については、特別な予算措置を講じない限り、公的需要が減少するなどの影響も予想されるが、米国などの先進国経済の回復にともなって「外需が国内景気を牽引する」という従来型の回復も見られ、実質GDP成長率は1.4%、名目GDP成長率は0.3%と3年ぶりにプラスに転じると予測した。ただし、GDPデフレーターは前年度比▲1.1%で物価下落は続く。
 11年度も輸出が牽引役となって経済成長を促すが、長引くデフレで企業体力は完全に戻らず「企業から家計への波及」は弱く、実質GDP成長率で2.1%と予測。また、名目GDP成長率は1.5%とした。2年連続でプラスとなる予測だが、「実質」と物価変動を加味した「名目」の成長率が逆転するのは12年度以降と見る。また、11年度も需給バランスの崩れが継続するため、GDPデフレーターは前年度比▲0.6%%と予測した。

(2009.11.24)