農政・農協ニュース

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穀物政策の樹立を提言  食料安保会議

 農業関係の学識者や財界、消費者団体関係者などで構成する民間の食料安保会議が11月19日、緊急提言「真の食料安全保障政策の確立を急げ」をまとめた。

 緊急提言の柱は(1)国としての穀物戦略の樹立と展望なき主食用米の生産調整からの脱却、(2)直接支払制度と農業経営総合支援制度の構築、(3)消費者が利益を実感でき環境保全にも資する農政改革、の3つ。
 具体策は5年後を目標に延べ作付け面積500万ha。品目・用途ごとの穀物総合戦略を定め穀物自給率を35%に(現在27%)、加工用、飼料用米などの米づくりを経営体の判断で選択できるよう国主導の生産調整は廃止、流通・加工、販売体制構築を支援、輸入トウモロコシ・小麦代替のための「穀物生産200万tプロジェクト」の推進、改正農地法を徹底活用し経営的に意味のある面積集積を実現するプログラム策定、透明性のある農産物市場の緊急整備と、選択的米づくりのセーフティネットとしての用途別直接支払い額の明示など。
 同会議議長の高木勇樹元農水事務次官は生産調整について「やっても米価は下がる。(飼料用米など)需要を作り出し幅広い価格帯の米づくりに対応できるよう主食依存から米生産を変えていくことが必要では」と話す。 また、提言ではWTO交渉では「国内産米の市場を狭めることになるミニマム・アクセス米の上積みは回避すべき」としている。
 現在のWTO農業交渉の議長案では「一般品目」扱いにすれば関税は大きく引き下げられるものの、ミニマム・アクセス米の拡大は求められない。「米は重要であるからこそ冷静に判断すべき。政府は徹底した情報開示のもとに国民的議論を巻き起こし真の食料安全保障政策の確立に資する選択をすべき」とも強調している。
 同会議の委員は阿南久(全国消団連事務局長)大泉一貫(宮城大教授)桑原道夫(丸紅副社長)澤浦彰司(グリーンリーフ代表)中村靖彦(東京農大客員教授)早房長治(地球市民ジャーナリスト工房代表)堀口健治(早大副総長)三輪睿太郎(農林水産技術会議議長)村田泰夫(明治大客員教授)。

(2009.11.24)