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第6回「田んぼの生きもの調査シンポジウム」  BASC

 "生きもの調査"と"田んぼ直接支払い"の推進運動をしている生物多様性農業支援センター(BASC)は、生きものを育む田んぼをどのように守り発展させるのか―をテーマに第6回めとなる「田んぼの生きもの調査シンポジウム」を12月4日、都内で開いた。

原耕造理事長 今回中心となった議題は「市民による民間型環境支払い」について。BASCはこれまで「田んぼの生きもの調査」が産直交流や食育教育などを支える根底の活動であるとし、普及に努めてきた。
 開会のあいさつで原耕造理事長は「生物多様性に一番影響を与えるのは第一次産業。“農業”を食の安全という視点ではなく、生物多様性の視点から捉えてみることが必要。今日のシンポジウムでこれからの農のあり方、環境と農の関係、国民としてどう農を支えていくのかが見えてくれば」と述べた。
農中総研・蔦谷栄一氏 シンポジウムでは「新政権下の農業施策と民間型環境支払い」をテーマに農中総研の蔦谷栄一氏が基調講演を行った。話の中で食料をめぐる情勢の変化や政権交代による農政の変化を指摘し、これからの農業をどういう視点で捉えていくべきかについて概略次のように提起した。
 エコファーマーの増加や農業の担い手が多様化しているという現状を示し、「自給的農業や週末農業、市民参画型農業も増加していくのではないか。距離や時間軸ばかりが広がっている現在の市場経済優先の生産から、関係性や循環を重視した生産に取り戻すことがこれからは必要。生活のベースである食が農業と裏腹な関係にある今、消費者と生産者の出会いの場を意識的に考え、地域社会農業を目指すべきだ」とし「『安いから買う』ではない価値を理解した “自覚的消費者”と「『ただ作ればよい』ではない循環型農業などを考える“持続的生産者”が手を繋ぐことで大きな社会変革の力になる。地域にふさわしい今までとは違った農業の推進が必要だ」と話した。

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上:原耕造理事長  下:農中総研・蔦谷栄一氏

 

◆生産だけでない価値

「市民による民間型環境支払い」について熱い討議が交わされた パネルディスカッションには「田んぼの生きもの調査」への活動に関わっている田中安規氏(JAあきた北央専務理事)渡沢賢一氏(農事組合法人山形おきたま産直センター組合長)宇根豊氏(NPO法人農と自然の研究所理事)岩渕成紀氏(NPO法人田んぼ理事長)渡辺竜五氏(佐渡市農業振興課)宮垣均氏(豊岡市コウノトリ共生課)木内岳志氏(農水省環境バイオマス政策課)若森資朗氏(パルシステム生協連理事長)大川智恵子氏(生協連コープ自然派事業連合理事長)の9人がパネラーとして参加。原理事長を司会に、学習院女子大学の荘林幹太郎教授をアドバイザーに迎え熱い討議で盛り上がった。
 話し合いの中で渡辺氏は「『自分の水田にドジョウやホタルが帰ってきた』と正しいことをしているという認識が農家に芽生えている。売るためだけでなく、生きものが増えることに喜びを感じる農家も多くなってきた」。岩渕氏は「今までは“米が獲れる場所”が田んぼだったが、生きもの調査を体験した子どもたちは“地域の命とひとつになる場所”として実感している」と活動に対する手ごたえを伝えた。
 直接支払いに対しての理解がなかなか普及していかない点についてもさまざまな意見が出され、宇野氏は「水田は米生産の経済価値だけでない。自分が食べたものがどこでどう育っているか、自分の世界の問題として農業を守ることの意味を考えてほしい。米の生産費とは切り離したものとして支払いへの理解をしてもらいたい」と訴えた。全体として消費者理解の呼びかけや地域レベルでの積極的な取り組み強化が必要との意見が目立つ討議となった。
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(写真)「市民による民間型環境支払い」について熱い討議が交わされた

(2009.12.07)