農政・農協ニュース

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価格下落に対応するセーフティネット機能の強化を JAグループが野菜・果樹で政策提案

 JA全中は12月10日の理事会で「野菜・果樹政策の構築に向けたJAグループの考え方?国民生活を支える野菜・果実の再生へ?」を決めた。これは11月の水田農業に続く野菜・果樹での「政策提案」で、野菜価格安定制度の充実などを提言している。今後、22年度予算や新たな基本計画策定などへの反映を働きかけていく。

◆経営はコスト割れ

 新政権の来年度予算概算要求では米・麦・大豆などを対象とした戸別所得補償のモデル事業を実施することにしているが、野菜・果樹についての新たな政策方向は示されていない。
 このためJAグループは22年度については現行制度の基本的な枠組みは維持されていくものと判断、月末の予算案編成に向けて制度・予算の充実を働きかけ、また、来年1月以降の新基本計画策定議論や果樹基本方針などにJAグループの考え方を反映させるためにまとめた。
 野菜は景気低迷による市況の低落や、輸入と競合する加工・業務用への対応、消費の変化に対応した品目転換と産地形成が課題となっていると整理。
 22年度対策では野菜価格安定制度の充実・強化によるセーフティネット機能を強化する必要があると提案している。


◆「産地区分」廃止求める

 現行の指定野菜価格安定制度は、過去9年間の平均市場価格の90%を保証基準額とし市場価格が下がった場合、その差を原則9割補てんする仕組み。
 しかし、野菜価格は長期的に低落傾向を示す一方、肥料価格の高騰などで経営は圧迫されている。
 このため政策提案では▽保証基準額の算定基準90%を引き上げる必要がある、とした。
 また、19年度から産地の認定農業者割合に応じて補てん率に差をつける「産地区分」が導入されている。しかし、認定農業者の判定基準は地域ごとのばらつきが大きく不公平感があることや、米戸別所得補償制度ではすべての販売農家を対象にしていることなどから、▽野菜生産が多様な生産者により支えられていることをふまえ認定農業者割合で補てんに格差をつける「産地区分」は廃止すべき、と提案した。そのほか、現在の指定野菜はキャベツやキュウリなど14品目あるが昭和49年以降見直しがされおらず、ブロッコリーなどは対象外。そのため▽消費が拡大している品目を指定野菜に追加する、ことも求めた。
 果樹では、価格が著しく下落した場合、生食用を緊急的に加工用に仕向ける緊急需給調整特別対策事業がある。 しかし、この対策と優良品目への転換や園地整備などに対する果樹経営支援対策事業の財源となっている中央果実基金(130億円)は、行政刷新会議の事業仕分けで23年度以降に全額返納が求められた。このため生産者からも評価されていることから事業の継続とともに、経営支援対策ではメニューの拡充なども求めていく。


◆岩盤対策の構築を

 中期的な政策のあり方でも経営のセーフティネット対策の確立・充実を求めた。
 JA全中の調べでは施設園芸の主業農家では10aあたりの粗収益が48万2000円に対して家族労賃を含めた生産費は同65万4000円とコストの割れの状態にある。
 果樹でもうんしゅうみかんの生食用販売価格は1kg110円程度。これに対して家族労賃を含めた生産費は1kg257円と生食用でもコスト割れが続いている。果汁用の販売価格は1kg10円程度だ。りんごでもこのコスト割れ状態は同じだ。
 JAグループは野菜についてのセーフティネットの充実と、果樹では生産、加工、流通、販売など全体を見据えた「国産果実戦略」を打ち出す必要性を指摘、そのうえで加工原料用果実の再生産確保策や、経営全体に対するセーフティネットとしての「岩盤対策」が必要だと提案している。「米以上に栽培管理、収穫に手間がかかる野菜・果実経営はコスト割れが当たり前の状態になっている。戸別所得補償制度の対象にすべきとの提案ではないが、セーフティネットの充実をさまざまな選択肢で考えるべきだ」(JA全中)としている。

(2009.12.16)