農政・農協ニュース

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昆虫の脱皮制御メカニズムを解明  農生研

害虫防除に有効な新農薬開発に道

 農業生物資源研究所(以下「農生研」)の研究グループは、カイコの脱皮ホルモンの合成を抑える前胸腺抑制ペプチド(PTSP)の受容体が、ハエの再交尾を防止する受容体と同一であることを明らかにした。

 昆虫の脱皮や変態は、前胸腺という胸部にある器官から分泌される脱皮ホルモンによって引き起こされる。
 東大、名大、中国、スロバキアの研究者も参加した研究グループは、カイコの脱皮ホルモンの合成を抑える神経ペプチドの一種であるPTSPの受容体を特定し、ハエで再交尾を抑える作用をもつペプチドの受容体と構造が同じであることを示した。
 また、PTSPが末梢神経で合成されることも明らかにした。
 これまでに、脳などの中枢神経で合成された物質によって脱皮ホルモン合成が制御されることは知られていたが、今回の結果から、末梢神経によっても制御されることが初めて明らかにされた。
 農生研では今後、「カイコで得られた受容体の情報を利用して、ウンカなどの害虫防除に有効な新規の農薬開発につながる」ことを期待している。

(2010.01.25)