農政・農協ニュース

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大きな曲がり角にきた生協産直  全国生協産直研究交流会開催

 日本生協連は、2月5〜6日、全国的な生協産直事業の今後の展望について課題を討議し、推進方策を共有するために「全国生協産直交流会」を開催した。今年で26回目となる。

開会のあいさつをする矢野日本生協連専務 日本生協連は、先の全国政策討論集会で4月からの「第11次中計」を論議し大転換期における生協の役割が大きな課題となっていたが、今回のこの交流会のテーマも「時代の転換点における生協産直の方向性を考える」だった。
 08年の冷凍餃子中毒事件やそれ以前のミートホープコロッケ事件など表示偽装問題で、かつては安全・安心な商品といわれ、「トップランナー」と自他共に認めてきたコープ商品の「神話」が崩壊し、生協を取り巻く状況が大きく変化したということだろう。
 生協の産直についても、食品スーパーなどが生鮮を強化するなかで「優秀な産地の取り合いになる」との認識を矢野和博日本生協連専務は開会の挨拶で述べた。そして「従来のスーパーは市場から、生協は産直という図式は完全に崩れた」とも。
 したがって「産地とのつながりと売り場との連動について、今一度強化すべき時期に来ているのではないか。改めて産直について目的や価格問題などについて、本音の議論をする時期にきたのではないか」と述べ、「産直には長い長い歴史があるが大きな曲がり角に来ている」「市場万能主義が国際的にも破綻をした状況のなかで、改めて国のあり方や社会のあり方を検討する中で、農業問題を考え産直問題を考える時期にきたのではないか」との認識を示した。
 交流会の1日目は、農地法改正を受けて生協の農業参入について日本生協連の「食料・農業問題検討委員会」などで議論をしていることや参入を決めた地域生協があることを受けてか、(株)ワタミファームの武内智顧問が自身の経験を含めて「有機農業の企業的農業経営」について、成功例だけではなく失敗した農場の問題についても具体的に示しながら、農業参入のポイントを講演した。
 次いで金子勝慶応大学教授が「時代の転換点における食料・農業と地域再生の課題」を講演した。
 そして五島彰産直事業委員会代表委員(コープネット執行役員)が「農産物品質保証システム2009年の取り組みと2010年改訂版」について提案した。
 2日目は3つの分科会にわかれ今後の生協産直事業等について検討した。


(写真)
開会のあいさつをする矢野日本生協連専務

(2010.02.08)