農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

3つの農事組合法人に解散命令  農水省

 農林水産省は1月26日、休眠状態にある本省所管の3つの農事組合法人に対して解散命令を出した。

 農事組合法人の設立は届出制となっているが、複数の県にまたがって事業を展開する場合は国への届出が必要となる。
 農林水産省はこうした全国規模で事業展開すると届け出た20の農事組合法人を対象に、平成20年7月に一斉に活動状況を報告するよう求めた。
 農事組合法人は認められた一定の範囲内で事業を行うことができるが農業生産を行うことは大前提だ。また法人として総会の開催や事業報告書を作成することも求められる。しかし、定期的に活動実態を所管省庁がチェックする体制にはない。そこで今回は活動報告の徴求ができると定めている農協法第95条第1項に基づいて命令を出した。
 しかし、農事組合法人三原牧場組合(兵庫県佐用町)、農事組合法人松原エスプリファーム(大阪府松原市)、農事組合法人環境開発センター(東京都国立市)からは報告がなかったため、違法行為に対する処置を定めた同法第95条第1項に基づいて報告徴求をしたがこれにも回答がなかった。
 その後、農水省は昨年5月に3法人に対して解散を前提にして事情を聞く聴聞を開催したが出頭も陳述書の提出もなく、またその後も活動実態も見られず自主的な解散の動きもなかったという。
 同省はこうしたことからこのほど農協法第95条の2第3号に基づく解散命令を出した。
 これらの法人のなかには昭和40年代に設立されたもののもあり、関係者とは連絡が取れたものの活動も組織そのものも実態がなかったという。農地の不正な使用など犯罪性のある活動で今回の措置に至ったわけではなく、あくまで事業実態のないことが確認されたための解散命令。「制度を適正に運用していくためにも事業を実施していない法人には退場していただくのが今回の趣旨」と農水省では説明している。

(2010.02.09)