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「新時代 新基軸 新青年部」 第56回JA全国青年大会に盟友1300人が集結

 食料・農業をめぐる環境や農政が大転換期を迎えている今こそ、次代を担う青年農業者が結集しようと2月16〜17日、JA全青協(全国農協青年組織協議会)は、東京・日比谷公会堂で第56回JA全国青年大会を開き全国から1300人以上の盟友が集結した。2日目にはJA全青協としての農政運動原則を打ちたてようと「農政運動確立キックオフ集会」も開催。青年らしく熱い想いに満ちあふれた大会となった。

一般消費者や学生も含めると1500人ほどが来場した(写真)一般消費者や学生も含めると1500人ほどが来場した。


◆青年農業者が希望の持てる政策を

 今年の大会はメインスローガン「新時代 新基軸 新青年部」、サブスローガン「築き上げよう我らの明日を」。メインはJA綾町青年部の松元秀明さんの応募によるもの。
 JA全青協の山本毅会長はスローガンについて「時代を的確にとらえ、我々から変わっていかなければならない時が来た」と述べ、「昨夏の歴史的な政権交代により新たな農業政策が始まろうとしているが、青年農業者が希望をもって営農に取り組める環境を実現してほしい」と訴えた。
 来賓では佐々木隆博農林水産大臣政務官が「政府と青年農業者が一緒になって新しい時代をつくれるよう、常に意見交換できる関係をつくりたい」とあいさつ。JA全中の茂木守会長は「青年組織の活動はJAグループにとって大変重要。青年農業者ががんばれば、わが国農業と地域全体が元気になる」と激励した。
JA兵庫六甲西神戸農業経営者協議会の大西雅彦氏が会長に立候補 大会では来年度のJA全青協正副会長立候補者が決意表明をした。
 JA兵庫六甲西神戸農業経営者協議会の大西雅彦氏が会長に立候補。阪神大震災の経験から「たとえ出口が見えなくても、決してあきらめず情熱をこめて行動する、という信条を得た。現場の声を1人でも1組織でも多く聞き入れ、1人でも多くの人に届けたい」と決意を述べた。
副会長に立候補したのはJAさが佐城青年部の牟田天平氏 副会長に立候補したのはJAさが佐城青年部の牟田天平氏。「青年部組織がなければ日本農業の発展はない。愛すべき農業、そして農協青年部の形を次世代に残すためにがんばりたい」と述べた。
 大会最後には「我々一人ひとりが意識改革しなければならない。青年部盟友は環境の変化に対し果敢に立ち向かい、明日を築き上げるため一丸となって取り組もう」などの大会宣言を採択した。

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上:会長立候補の大西雅彦さん
下:副会長立候補の牟田天平さん


◆農政運動の原則確立をめざして

大会の最後にはJA全青協のさらなる活動の発展を祈願してガンバロー三唱 大会2日目にはJA全青協として農政運動にどう取り組むべきかの行動原則確立にむけた「農政運動確立キックオフ集会」を開催。野中尚人学習院大学法学部教授の基調講演とパネルディスカッションを行った。
 パネルディスカッションに出席したのは、北海道農協青年部協議会会長の牧清隆氏、JA全青協1999年度委員長の森本一仁氏、JA全青協副会長の岩崎隆氏、農林中金総研顧問の野村一正氏、野中氏、鳥取環境大学の金子弘道氏、JA全青協会長の山本氏の7人。
 戸別所得補償制度について「判断するのは時期尚早。今後の様子を見守りたい」という意見のほか「現場が混乱している。組織力低下につながるのではないかと危惧している」など影響を危ぶむ意見も出された。
 今後の農政運動の展開については「政党ではなく政策で判断しなければならない」などの意見が出された。
 全青協はこの日を始点に、半年から1年間ほどかけて運動原則の確立をめざす。
 山本会長は集会の最後に「農政運動の行動原則確立に向けて組織を挙げた議論をしていきたい。これまでJA全青協は節目節目で盟友の叡智を結集して原則や綱領を構築してきた。われわれも10年後20年後の後輩に引き継げるような将来ビジョンをつくるため、盟友1人ひとりの考えを積みあげて、ともに議論していこう」と呼びかけた。

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大会の最後にはJA全青協のさらなる活動の発展を祈願してガンバロー三唱。


◆盟友の熱い想い・活動を全国へ

 初日の「JA青年の主張全国大会」「JA青年組織活動実績発表全国大会」では、それぞれ予選を勝ち抜いた6人が発表。
 青年の主張では、急逝した父の跡を継ぎ26歳で5代目コメ農家となったJA京都にのくに青壮年部綾部支部の西山和人さんがJA全中会長賞を受賞。「父が一番大切にした人と人のつながりを肌で感じている」と涙ながらに話した。
 青年組織活動では、食農教育を中心に地元小学校から米軍基地での交流会まで幅広く活動しているJAながさき西海させぼ地区青年部が千石興太郎記念賞に輝いた。「青年部って何のためにあるとですか?」との問いから新しい活動に次々と取り組んでいる。
 2日目の「JA青年の歌『君と』全国コンクール」ではJAそお鹿児島財部支部青壮年部の堀内孝志さんが最優秀賞を受賞した。
JA京都にのくに青荘年部綾部支部・西山和人さん、JAながさき西海させぼ地区青年部の活動発表者・浦 純二さん、JAそお鹿児島財部支部青壮年部・堀内孝志さん

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(左から)JA京都にのくに青荘年部綾部支部・西山和人さん、JAながさき西海させぼ地区青年部の活動発表者・浦 純二さん、JAそお鹿児島財部支部青壮年部・堀内孝志さん

【大会宣言(原文)】
 我が国農業の農業をめぐる環境は、国際化の進展や市場原理主義の拡大、飼料や肥料等の生産資材価格の高止まり、デフレによる農畜産物価格の一層の低迷や消費量の減少等の影響を大きく受け、農業経営はかってないほど厳しい状況にある。また高齢化等により、農業従事者の減少にも歯止めがかからず、我々青年農業者への期待や役割はますます大きくなっている。
 しかしながら、政治情勢の変化により、我々が行ってきた従来型の提言や要請活動では、現場の意見を国政へ反映しにくくなっている。
 このような状況の中、「新たな食料・農業・農村基本計画」の策定や戸別所得補償制度のモデル事業等、新しい仕組みの制作がスタートする。勿論、我々も農業所得増への期待を寄せてはいるが、その反面現在の政策決定過程に参画できないことから、主体的に自らの将来ビジョンを描けずにいる。
 このような現状を打開し、安心して農業を継続できる環境を作るためにも、現場の営農活動、地域の協同活動の実態から積み上げた明確なビジョンを構築し、それに繋がる一連の政策の確立を目指す活動こそが求められてくる。
 こうしたことを実現するためには、まず我々一人一人が意識改革をしなければならない。
 今一度、組織の目的や意義を見つめ直し、力を結集しようではないか。

 「新時代 新基軸 新青年部」

 我々青年部盟友は環境の変化に対し果敢に立ち向かい、我らの明日を築き上げるため、一丸となって取り組んでいくことをここに宣言する。

平成22年2月17日
第56回JA全国青年大会

(関連記事 山本毅JA全青協会長インタビュー

(2010.02.17)